医療法人社団鈴木内科医院理事長兼院長の鈴木岳氏は、著書『安らぎのある終の住処づくりをめざして』のなかで、入居者ファーストの「終の住処づくり」について語っています。当記事では、鈴木氏が自身の経験を元に、「入居者にとって快適なサービス付き高齢者住宅」について考察していきます。

最後まで住み続けられる「老人ホーム」の条件は?

最後まで住み続けられる「高齢者住宅」には医療、看護、介護の支えが身近にあるのは必須条件です。高齢者の中でもとりわけ、疾病や障害を患い、余生を過ごさなくてはならない方々を年余に渡り、住んでいただく集合住宅の住環境はどうしたらいいのでしょう?

 

私は自分の旅の経験、放浪の体験から人や自然と触れ合えること、一方で一人でゆっくり思索できる空間が非常に大事だと考えました。老いて、体が効かなくなっても頭は動きます。私にとって思索ができる環境とは、自然の中でゆっくり過ごせること、一人になれる空間のあることでした。

 

海外生活中に医療のこと、介護のこと、これからの人生のことなど、いまに続く多くのアイデアを確立したのは自然散策であったり、一人でアパートの図書室に閉じこもったりした時間だったのです。

 

他方で、孤独を紛らわせる人的交流を保てることも必須です。お互いの考えを交わらせる社交が保てないとつまらないです。社交は面倒である一方で、人が人らしくあるためには必要です。ですので、社交が生まれる空間と逃げられる空間。その二つが必要です。

介護される側の本音は、必ずしも在宅一辺倒ではない

在宅介護が盛んだとされるスウェーデンでも、介護される側の本音は必ずしも在宅一辺倒ではありません。ダーラナ地方を旅した時に、お世話になったチュルさんと老人ホームの話をした際のこと。チュルさんは年老いた独居の親御さんを時々訪問してお世話をしていました。

 

「この頃は本当に施設入所ができなくなった。いよいよ動けなくなるまで入れてもらえないんだ。身寄りが誰もいなくなった自宅に一人で住むって寂しいもんだよ」

 

慣れ親しんだ家に住まい続けるって理想のように思っていました。けれど、「慣れ親しんだ家」「我が家」の環境ってのは家族がいてこそなんですね。

 

(画像はイメージです/PIXTA)
(画像はイメージです/PIXTA)

 

慣れ親しんだ空間だけが残っていてもそれはもはや「我が家」の幻影。そこに一人住んでも寂しさだけが募るものだと思います。それでもまだ、慣れ親しんだご近所さんとの関係が強ければ「我が家」の環境は保たれます。それが希薄になった時、新しい家族ないしご近所さんを求めて住みかえるのは悪くないと思います。その際に継続性も大事ですから、使い慣れた家財を持っていくと馴染みやすいです。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『安らぎのある終の住処づくりをめざして』より一部を抜粋し、再編集したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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