なぜ、認知症なんかになるんだ――。物を失くす、使えなくなる、物忘れが増える……。刻々と変わりゆく妻の様⼦に⼾惑う⽇々について、棚橋正夫氏は書籍『認知症介護自宅ケア奮闘記 私の知恵と工夫』で記しています。本記事では、「認知症を発症したかもしれない」と感じるきっかけとなった、生活の変化について解説します。

「私って、何してるんやろ。あほやな」

「この電話故障かしら?」と言う声が聞こえた。私は、隣の部屋にいたので、「電話が鳴ってるやん。何してんの」 と言いながら覗くと子機でなくテレビのリモコンを耳に当てて話をしていた。色も大きさもよく似ているので電話の子機と間違えたらしい。妻は、それに気付き、「私って、何してるんやろ。あほやな」と笑いながら電話の子機を取って応答していた。まだ、この頃は、自分の間違いに気付いていた。

 

さらに、階段、廊下、トイレ、台所の電気の切り忘れが起こり朝まで点いていたことが何度もあった。まずいと思い、人が近づくと自動点灯するLEDランプに取り替えて対処した。

 

その後、危険なことが起こった。私が帰宅したとき妻は庭の掃除をしていた。

 

「庭掃除ご苦労さん」と言って玄関の扉を開けたとたん、家の中に煙がもうもうと立ち込こめていた。火事だと思い靴のまま、台所に駆け込んだ。ガスコンロのナベから煙が上がっていた。ガスを止め、換気扇を強にした。妻も煙を見てびっくりして飛んできた。

 

「お昼を食べようと味噌汁を温めて、そのまま忘れてしまった。お父さん、ごめんなさい」と謝った。

 

「火事でも出したら大変や。これから、離れるときは火を消してから動きや。気をつけようね」と優しく注意した。

 

「私って、何をしているんだろう。ぼけてきたのかしら」と、自分のやったことを認めて反省していた。そのときも加齢によるよくある、もの忘れだと思っていた。ガスは、一番危険で同じ事を繰り返す可能性もある。ガスの元栓を止めて、IHに切り替えた。だが、もの忘れは、それだけではなかった。次々と起こりだした。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『認知症介護自宅ケア奮闘記 私の知恵と工夫』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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