「家に帰ったとき」あることに気づいた。50年ぶりにともに暮らすことになった母親が、どうも妖怪じみて見える。92歳にしては元気すぎるのだ。日本の高齢化は進み、高齢者と後期高齢者という家族構成が珍しくなくなってきた。老いと死、そして生きることを考えていきます。本連載は松原惇子著は『母の老い方観察記録』(海竜社)を抜粋し、再編集したものです。

猫と暮らすと心が落ち着き、充実した日々が

40歳までは猫を飼ってはいけません

 

わたしが猫と一緒に生活するようになってから30数年がたつ。30代のときに、ムツゴロウさんのチャトラン猫を見て、「猫と暮らしたい」と思ったのがきっかけだ。

 

そのことを獣医になるのが夢だった猫好きの人生の師に話すと、あっさりと釘を刺された。

 

「だめだめ、40歳までは、猫を飼っちゃだめよ」

 

今、猫を飼うと幸せになってしまい結婚する気がなくなるので、40歳までは結婚相手を探しなさいというアドバイスだった。わたしには40過ぎても結婚はしないという確信があったが、人生の師を立てた。

 

「幸せになりたかったら猫を飼いなさい」という本が売れているようだが、このタイトルは名タイトルだと思う。寂しい老後を耐えながら送っている人は、ぜひ、猫の力を借りて楽しい毎日を送ってほしいと思う。

 

ますよ。わたしがこれまで、死にたくなるほど落ち込んだときも、うつにならずに済んだのは、猫の存在のお蔭だと思っている。犬はペットだが猫は、弱い人間のために神様がくれた贈り物なのである。

 

90代で猫を飼う人

 

ある91歳の未亡人に子供はいない。猫好きで、猫のいない生活をしたことがないらしい。一般的に、80歳を過ぎて新しく猫を飼う人は稀だが、彼女の場合は、転居で猫を飼えなくなり、困っていた知り合いの老猫を引き受けた。

 

最初のうちはなかなか懐かず、ベッドの下から出てこなかったらしいが、それでも猫はかわいい、と笑みを浮かべる。

 

その猫のことをわたしが尋ねると、その子は最近亡くなったという。長生きすると、人だけでなく、猫も何匹も送ることになる。年齢で猫と暮らすことを諦める人がいる一方で、死ぬまで猫と暮らす人もいる。その方は、猫とずっと暮らしてきたせいか、いつもにこにこしていて穏やかなので、会うのが楽しい。

 

よく、猫より自分が先に死んだら猫がかわいそうだから、という理由で猫を飼わないという人がいるが、自分が死んだあとに残された猫のことがそんなに心配なら、100万円でもつけて誰かにお願いすれば、誰でも引き受けてくれるはずなので、今を幸せに暮らすことに集中した方が、賢明ではないだろうか。

 

 

 

 

松原 惇子
作家
NPO法人SSS(スリーエス)ネットワーク 代表理事

 

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母の老い方観察記録

母の老い方観察記録

松原 惇子

海竜社

『女が家を買うとき』(文藝春秋)で世に出た著者が、「家に帰ったとき」あることに気づいた。50年ぶりにともに暮らすことになった母が、どうも妖怪じみて見える。92歳にしては元気すぎるのだ。 おしゃれ大好き、お出かけ大好…

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