猫と暮らすと心が落ち着き、充実した日々が
40歳までは猫を飼ってはいけません
わたしが猫と一緒に生活するようになってから30数年がたつ。30代のときに、ムツゴロウさんのチャトラン猫を見て、「猫と暮らしたい」と思ったのがきっかけだ。
そのことを獣医になるのが夢だった猫好きの人生の師に話すと、あっさりと釘を刺された。
「だめだめ、40歳までは、猫を飼っちゃだめよ」
今、猫を飼うと幸せになってしまい結婚する気がなくなるので、40歳までは結婚相手を探しなさいというアドバイスだった。わたしには40過ぎても結婚はしないという確信があったが、人生の師を立てた。
「幸せになりたかったら猫を飼いなさい」という本が売れているようだが、このタイトルは名タイトルだと思う。寂しい老後を耐えながら送っている人は、ぜひ、猫の力を借りて楽しい毎日を送ってほしいと思う。
ますよ。わたしがこれまで、死にたくなるほど落ち込んだときも、うつにならずに済んだのは、猫の存在のお蔭だと思っている。犬はペットだが猫は、弱い人間のために神様がくれた贈り物なのである。
90代で猫を飼う人
ある91歳の未亡人に子供はいない。猫好きで、猫のいない生活をしたことがないらしい。一般的に、80歳を過ぎて新しく猫を飼う人は稀だが、彼女の場合は、転居で猫を飼えなくなり、困っていた知り合いの老猫を引き受けた。
最初のうちはなかなか懐かず、ベッドの下から出てこなかったらしいが、それでも猫はかわいい、と笑みを浮かべる。
その猫のことをわたしが尋ねると、その子は最近亡くなったという。長生きすると、人だけでなく、猫も何匹も送ることになる。年齢で猫と暮らすことを諦める人がいる一方で、死ぬまで猫と暮らす人もいる。その方は、猫とずっと暮らしてきたせいか、いつもにこにこしていて穏やかなので、会うのが楽しい。
よく、猫より自分が先に死んだら猫がかわいそうだから、という理由で猫を飼わないという人がいるが、自分が死んだあとに残された猫のことがそんなに心配なら、100万円でもつけて誰かにお願いすれば、誰でも引き受けてくれるはずなので、今を幸せに暮らすことに集中した方が、賢明ではないだろうか。
松原 惇子
作家
NPO法人SSS(スリーエス)ネットワーク 代表理事
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