プログラミング思考の素養を持つ子どもを育てる
このように、プログラミングを教科と切り離したものとして学ぶのではなく、音楽の授業の中で実際に使ってみることが重要なのです。先生たち自身が「自分とコンピュータが一緒になって、一つのメロディを作り出せる」という感覚を育てることが、プログラミング思考の素養を持つ子どもたちを育てることにつながるのです。それは小学生にプログラミングの用語を強制的に覚えさせることとはまったく異なります。
一番簡単なプログラミングは、たとえて言えば積み木のようなものです。「Scratch」というプログラミングソフトは、プログラミング言語を覚える必要がないため、子どもや年配者に適しています。これは白紙のキャンバスに一から絵を描いていくようなものではなく、すでに描かれたものを自分で調整していって完成させるイメージです。
たとえば、二匹の虎が描かれていた絵に一匹追加して三匹にしたい場合、シンプルなプレゼンテーション資料を作るのと同じように、すでに描かれている虎をコピー&ペーストするだけで完成します。
こういうふうに話すと、「自分の力で作品を完成させなければ、達成感を得ることができないのではないか」と思う人もいるかもしれません。しかし、現在ではプロのプログラマーであっても、最初から最後まで一人の力だけでプログラムを完成させていません。多くの場合は「誰かの手で八割、九割まで書かれたプログラミングを修正しながら完成させる」という方法です。
こうした方法であれば、短期間で達成感を得ることができます。そして、プログラミング思考の素養を持つ子どもたちを育てるためには、このような方法のほうがいいのではないかと私は思います。
オードリー・タン
台湾デジタル担当政務委員(閣僚)
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