2025年には、日本の中小企業の約半分にあたる127万社が「後継者不在」になると予想されています。今回は、金融機関との間に「借金」が残った状態で従業員に会社を譲渡した場合の「経営者保証」の問題と解決策について見ていきます。※本連載は、植木康彦氏、髙井章光氏、榑林一典氏、宇野俊英氏、上原久和氏の共著『ゼロからわかる事業承継・M&A90問90答』(税務研究会出版局)より一部を抜粋・再編集したものです。

前経営者と後継者が二重に保証する「二重徴求」は禁止

経営者保証のあり方について規定している「経営者保証ガイドライン」の第6項は、事業承継時の経営者保証のあり方について規定しています。前経営者の保証解除についても、その申し出があれば金融機関は適切に判断することとされています。

 

事業承継時における経営者保証のあり方を明確にした、「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」は、令和2年4月から適用されていますが、前経営者と後継者が二重に保証する「二重徴求」については原則として禁止しています。

 

さらに、前経営者の保証に関し、「実質的な経営権・支配権を保有しているといった特別の事情がない限り、いわゆる第三者に該当する可能性がある」とし、2020年4月施行の改正民法においては、第三者の個人保証については予め公証役場にて意思確認する必要があるなど制限されている状況を踏まえ、適切な見直しを検討することを求めています。

 

経営者保証ガイドラインが事業承継の場面にも適用があることや、その「特則」が新たに制定されたことなどについて、金融機関担当者が知らなかったり、内容を理解していない場合も少なくないと思われますので、これらのガイドラインを全国銀行協会や金融庁・中小企業庁のホームページから取得して、積極的に提示して協議を求める必要があると思われます。

 

 

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ゼロからわかる事業承継・M&A90問90答

ゼロからわかる事業承継・M&A90問90答

植木 康彦、髙井 章光、榑林 一典、宇野 俊英、上原 久和

税務研究会出版局

●本書は、事業承継時に想定される税務、法務、M&Aなどに関して、それぞれの分野の専門家が実務上起こりうる問題点を踏まえてQ&A形式でわかりやすく解説しています。 ●本書の特徴は、以下があげられます。 ・ベーシックな…

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