ある日突然、老親が緊急搬送で入院という事態が起こります。介護は毎日のことなので、使命感だけでは長続きはしません。10年以上、仕事をしながら父母の遠距離介護を続けてきた在宅介護のエキスパートは、「介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはならない」と訴えます。入院や介護に備え、知っておきたい制度やお金の話から、役立つ情報、具体的なケア方法までを明らかにします。本連載は渋澤和世著『親が倒れたら、まず読む本 入院・介護・認知症…』(プレジデント社)から抜粋し、再編集したものです。

引き出したお金は決まった場所に保管

エピソード

 

病院付き添いや現状の確認のため、月に1、2日は実家に出向いていました。病院は平日なので毎月必ず、有給休暇をとっていたことになります。実家は静岡なので新幹線でも東海道本線でも1時間とかわりません。

 

東海道本線の方が実家に近い駅に停車するため、交通費の節約のためにも、余程急ぎでない限り在来線を利用しました。JRには介護の割引運賃制度がないことも理由です。飛行機は介護割引の制度があります。少しでも良い制度があるのなら利用してください。

 

実家に出向くときは事前に担当のケアマネージャーに日時を連絡し親の日常の様子を確認しました。デイサービスには、母が行きたがらず、父だけが行くことが多いと聞いたときは認知症なのに大丈夫かと心配になったくらいです。

 

毎回ではありませんが、お墓参りや近所への挨拶もしていました。郵便物が封を開けずに溜まっていたので、これを確認するのも仕事でした。介護保険関係は、とにかく申請書ばかりで字を書くことが多いのです。封書がきても理解できず、お金が戻るのに申請できていない人が世の中にはどれだけいるかと思いました。両親は晩年、お金の引き出しができなくなったので、毎回、引き出しては決まった場所に保管していました。お金はここという場所を家族で決めていました。

 

冷蔵庫の中も食品以外の食器や靴下が入っていたり、古いご飯や賞味期限切れのものがそのまま保管されたりしていました。それらを捨てる・片付けるのも役目でした。デイサービスと訪問介護の他に民間の配食サービスを週に3日、利用しました。デイサービスの迎えの際、親が鍵の場所がわからないことが多いと言われ、合鍵を渡すこともしました。

 

乳飲料の訪問販売を断ることができず「契約した」と、いきなり言われたこともありました。また断れなかったのか、と思いましたが、新聞と合わせて見守りになればと無理にでも考えを変えていました。

 

配食サービスが来ない日は、イトーヨーカドーのネットスーパーを利用しました。私が自宅から親の地域に配達してくれる店舗に注文でき、お菓子やケーキや飲み物など、両親の好きなものが頼めることがよかったです。私としては、あれも食べさせたい、これもと色々と遠距離から注文していたのですが、「食べきれないよ」と父から言われました。離れているとどのくらいが今の両親に適切な量なのか見当がつかなかったのです。色々とあるものです。

 

渋澤 和世
在宅介護エキスパート協会 代表

 

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渋澤 和世

プレジデント社

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