2025年、日本の中小企業の約半分にあたる127万社が「後継者不在」で、そのうちの約67万人の経営者が未対策で廃業の危機に直面しています。今回は、事業承継問題の実態を具体的な数字から見ていきます。※本連載は、植木康彦氏、髙井章光氏、榑林一典氏、宇野俊英氏、上原久和氏の共著『ゼロからわかる事業承継・M&A90問90答』(税務研究会出版局)より一部を抜粋・再編集したものです。

誰が継ぐかによって異なる「事業承継」の3つの態様

ひと口に事業承継といっても、後継者の有無、後継者の属性(親族か幹部従業員かなど)によって、対応しなければならない問題は異なります。

 

したがって、事業承継を支援する場合には、その事業承継の態様を確認した上で、それぞれにおいて生ずる問題を見極めて対応する必要があります。

 

その場合、現時点では特に問題となっていない場合であっても、例えば前経営者が亡くなって相続が生じた場合に、経営を承継した相続人と他の相続人との間で遺産分割や遺留分が問題となって紛争に至ってしまうなど、将来において問題となりうる課題についても確認し、対策を講ずる必要があります。

 

(1)親族承継

社内に経営者の親族(子供、兄弟、甥姪等)がいる場合には、その後継者に対する教育、社内外に対する周知のほか、会社株式を贈与する場合には贈与税や、後々の相続が生じた場合の遺留分の問題が生ずることになり、また、株式が親戚に広く散らばっている場合には、それらを集中して次世代の後継者において円滑に経営を行う体制を整える必要があります。

 

(2)従業員承継

幹部従業員が経営を承継する場合には、株式をどのような形で承継させるのか、また社内の人事調整のほか、経営者保証(会社への金融機関の貸付に対する経営者の保証)を後継者が承継するのかなどが問題となります。

 

(3)第三者承継

社内に後継者がいない場合には、外部から経営者を招聘する必要がありますが、そのような人材をすぐに得ることは現実的には難しいと思われます。その場合には、会社又は事業を他の企業に譲渡することで、従業員の雇用を維持し、取引先や顧客への影響をできるだけ少なくするとともに、退任する経営者においてはその後の生活資金を得る機会となります。

 

問題は、どのようにして譲渡先を探すのか、譲渡先候補が見つかった場合、円満に譲渡するためにはどのような条件交渉を行えば良いのかという点になります。

 

 

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