日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、昨今の「雇用情勢」に焦点をあてていきます。

コロナ禍で仕事が探せず…統計外の失業者がいる

厳しい雇用情勢が続いていますが、失業率についてはどうでしょうか。前出の調査からみていきます。

 

【完全失業率の推移】

2020年1月:2.4
2020年2月:2.4
2020年3月:2.5
2020年4月:2.6
2020年5月:2.8
2020年6月:2.8
2020年7月:2.9
2020年8月:3.0
2020年9月:3.0
2020年10月:3.1
2020年11月:3.0
2020年12月:3.0

 

長引くコロナ禍、じわりじわりと悪化し、ここ2、3年の間では高い水準で推移しています。3.0を超えたのは、2017年5月以来ですが、リーマンショックの際には5.0を超えていたので、それに比べればまだまし、といったところでしょうか。

 

ちなみに主要国の失業率を見てみると、2020年12月時点、韓国では5.4%、アメリカでは6.3%、カナダで8.8%、イギリスで5.1%、ドイツで4.7%、フランスで7.7%、イタリアで9.0%。各国、失業者の把握方法が異なり、一概にはいえませんが、世界的に見れば、日本の雇用情勢は良いほうだといえるでしょう。

 

失業者について、もう少し、詳しく見ていくと、失業者210万人うち、失業期間が「3ヵ月未満」が82万人、「3~6ヵ月未満」が37万人、「6ヵ月~1年未満」が31万人、そして「1年以上」と長期戦になっているのが55万人です。

 

1年以上失業状態の人を年齢別に見ていくと、最も多いのが「25~34歳」で28万人、「45~54歳」が26万人、「35~45歳」が23万人となっています。

 

前職の雇用形態別にみると、前職が正規雇用者はだったのは43万人で、前年比9万人増。一方で非正規雇用者は45万人と、こちらも前年比9万人の増加となりました。また非正規雇用者に限ると、パート・アルバイトが24万人で前年比4万人増、契約社員・嘱託の者が9万人で、前年比2万人増となりました。

 

失業の理由はさまざま。「賃金や給料が合わない」が15万人、「勤務時間や休日が合わない」が23万人、「求人の年齢が合わない」が21万人、「求人で求める技術が合わない」が14万人、「希望する種類や内容の仕事がない」が63万人。これらは仕事に対してこだわりがあってのことなので、見方を変えれば、あえての失業状態といえるでしょう。

 

一方で問題なのが「条件にこだわらないが、仕事がない」という14万人。だいたいどの世代にも2万人ほどいる「働きたいが仕事がない」という人たちです。

 

失業者は1ヵ月以内に求職活動を行い、すぐに就業できる人。完全失業者は失業した人のうち、仕事があればすぐに就業でき、求職活動を1週間以内にした人を指します。しかし再就職を希望しても、コロナ禍では満足な求職活動ができない人もいます。このような“働き止め”の人は完全失業者に含まれず、現在、数十万人に上るといわれています。

 

2021年、1月の有効求人倍率、失業者ともに、わずかながら改善しましたが、緊急事態宣言下でのことなので、ジャッジは難しく、引き続き、厳しい雇用情勢は続くと見られます。

 

 

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