日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は金融に関する世論調査の結果から「貯蓄ができない世帯」に焦点をあてていきます。

子どもの教育、老後…いくら貯蓄があれば安心か?

金融資産を保有する理由のトップ3を見ていくと、「老後の生活資金」が65.6%、「病気や不時の災害への備え」が59.0%、「子どもの教育資金」が27.8%。老後や万が一の備えとして、また人生の三大支出のひとつである教育費のため、という人が多くいます。

 

子どもの教育にどれほどのお金が必要なのでしょうか。文部科学省『平成30年度子供の学習費調査』によると、幼稚園では公立で約64万円、私立で約158万円、小学校では公立で約192万円、私立で約959万円、中学校では公立で約146万円、私立で約421万円、高等学校では公立で約137万円、私立で約290万円がかかります(図表1)

 

出所:厚生労働省『平成30年度子供の学習費調査』より作成
[図表1]子どもの学習費の目安 出所:厚生労働省『平成30年度子供の学習費調査』より作成

 

さらに文部科学省『国立大学等の授業料その他の費用に関する省令』、『私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査』で大学の学費を見ていくと、初年度、国立大学の納付金は81万7800円、私立大学は文系で117万2582円、理系で154万9688円。4年間では、国公立大学で250万円ほど、私立大学文系で400万円、私立大学理系で550万円程度の費用が必要です(図表2)

 

出所:文部科学省『国立大学等の授業料その他の費用に関する省令』、『私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査』
[図表2]大学の学費 出所:文部科学省『国立大学等の授業料その他の費用に関する省令』、『私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査』

 

仮にすべて国公立校に通ったとしたら子ども1人に約800万円、すべて私立校に通ったら子ども1人に2000万円を超える学費は覚悟しなければいけません。

 

老後についてはどうでしょうか。総務省『2019年度家計調査』を見ていくと、高齢者世帯の「実収入」は、世帯主が無職の場合、月額24万5374円。そのうち「公的年金」は20万2746円。そして「黒字額」は-2万8472円。1年で35万円、10年350万円、20年で700万円近い赤字になる計算です。

 

さらに介護や医療のことも考えると、プラスαの貯蓄は必須です。厚生労働省『サービスにかかる利用料』によると、要介護5で介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入居した際の1ヵ月の自己負担額は、多床室を利用した場合で10万2200円、ユニット型個室を利用した場合は13万9500円。介護老人福祉施設の平均入所期間は約4年といわれているので、多床室であれば年間約122万円、4年で約490万円、個室であれば年間約167万円、4年で約669万円が平均的な費用です。

 

では生活費の不足分にプラスして、特養の個室に4年間入居したことを考えて、1500万円ほどあれば安心、とはいえないが老後費用の難しいところ。希望する施設への入所が叶わなかったら、高額医療が必要になったら……もしものことを考えると、際限がなくなります。

 

いくらあっても、お金の不安はなくならないもの。毎月、いくら貯蓄すればいいというのも人それぞれです。ただ定期的に貯蓄ができているということは、将来への安心に繋がります。

 

 

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