色覚異常というと、色がまったく判別できない状態を想像する人が多いようです。しかし実際には「判別しづらい」というケースがほとんどで、自覚なく生活を送っていることも珍しくありません。実は、気づかれないだけで、ほぼ全員が加齢に伴い色覚異常になることをご存じでしょうか。

20代後半から始まる…誰もが「色覚異常」になる事実

生まれつきの異常がない人も80歳までにはほぼすべての人が色覚低下をきたします。これを本記事では「加齢による色覚異常」と呼びます。加齢による色覚異常は、20代後半から着々と進行しているといえるのです。

 

目には、水晶体と呼ばれる器官があります。水晶体はカメラでいうレンズのような働きをするところです。水晶体は生まれた時には無色透明ですが、有害光線から目を守るために薄い黄色に変化していきます。

 

いわば、眼球に直接、黄色いサングラスをかけるようなものであり、黄色が濃くなるほどに、当然色の見え方が変わってきます。

 

10代後半から20代前半で、水晶体はちょうど好ましい薄黄色になるのですが、加齢に伴い黄色化はさらに進行します。

 

80代になると、水晶体はビール瓶のような濃い茶色になる人もいます。もし手近にウィスキーの入った透明な瓶があるなら、それを透かして見てください。視界はその景色に近いほどに色を判別できなくなるのです(【⇒「見え方の違い」シミュレーションを見る①】)。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

加齢による色覚異常は、時間をかけてゆっくりと進行し、気づかぬうちに少しずつ色を見る力が落ちてきます。これを放置しておくこともまた、命の危険につながります。

高齢者の火災事故にも「色覚異常」が大きく関係

加齢による色覚異常は、自覚症状もあまりなく、生活に支障があるわけではないと放置されることが多くあります【図表】。

 

【図表】先天色覚異常と後天色覚異常

 

しかし誰の身にもいずれは起こる加齢による色覚異常が、高齢者の命を脅かす危険をはらんでいるのです。

 

その一例が高齢者の火災事故です。ガスコンロなどの炎が衣服に燃え移る「着衣着火」が原因となり、火災になることがあります。総務省消防庁の2020年度の調査によれば、住宅火災に伴う死者数は前年、全国で858人でしたが、そのうち44人が着衣着火で全体の約5%を占めました。

 

しかも同年の調査で東京消防庁が管轄地域で起きた着衣着火の内容を分析した結果、死亡者44人のうち39人が、65歳以上の高齢者だったのです。

 

火元に関しては半数近くが、ガスコンロなどのガス調理器具から引火したことがわかりました。具体的には、「やかんと鍋を移しかえようとしたら袖に火がついた」「コンロの上の棚のものをとろうとしたら裾が燃えた」といった事例があったそうです。

 

大事には至らなくても、服に火が移るなどしてヒヤリとした経験を持っている高齢者は数多くいます。東京都生活文化局が、インターネットを通じ首都圏の60歳以上の男女3000人にアンケート調査を行ったところ、1割近い261人が、着衣着火の経験があると回答。そのほとんどは日常的な生活の中で起きたこともわかっています。

 

 

※本連載は市川一夫氏の著書『知られざる色覚異常の真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

知られざる色覚異常の真実 改訂版

知られざる色覚異常の真実 改訂版

市川 一夫

幻冬舎メディアコンサルティング

先天の色覚異常も、加齢による色覚異常も、この一冊で正しい知識と対策法を身につけましょう! 普段私たちが何気なく見ている「色」ですが、実は人によってとらえ方が違います。なかには、生まれつき特定の色を判別しづらい…

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