不動産オーナー(大家)ならば、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震など近年の大規模な地震被害などもあって、消防法が厳しくなってきたのはご承知のところだと思う。ひとつは、ビルやマンションの建築で5階建て以上のマンションには、避難通路を2方向に向けて設置、外部避難通路が新たに加わった[図表1]。そのため建築費用は上昇し、外部避難通路を増設することで部屋数が減ってしまうなど影響も出る。

エレベーターを設置すると「一部屋分」減ってしまう!

■EV(エレベーター)のメリット

 

マンションやアパートの住居者にとってエレベーターは便利だ。特に上階の入居者にとっては、荷物の上げ下ろしも楽で、エレベーターがあると賃貸を紹介する時の案内受けもいい。

 

でも、大家にとって気になるのが、やはりコストや維持管理。

 

エレベーターの設置は建築基準法や高齢者の居住の安全確保に関する法律に記載されており、建築基準法では、7~10階建てのビルやマンションに相当する高さ31メートルを超える建物には「非常用の昇降機」を設けなければならないとしている。

 

では、エレベーターのメリットは何か。ひとつは、階段の昇降が不要で重い荷物を運ぶ時などは楽だということ。これから部屋を借りる人に物件を案内する時などはアピール材料になる。

 

昨今のブームで人気が出ている自転車も、エレベーターがあれば、高額な自転車を部屋に近い共用部に置くことも可能など、建築プランのひとつとして、とても重要なアイテムであることは間違いない。

 

■EVがある物件と、ない物件

 

土地の利用価値という視点でエレベーターが「ある物件」と「ない物件」、どちらが有利かということを考えてみる。

 

まずエレベーターを設置するためには、エレベーターが昇降する場所を確保しなければならず、その分のスペースが必要になる。

 

1LDKであればだいたい部屋数がひとつ少なくなる。つまりエレベーターは入居者にメリットを提供する一方で、大家にとっては部屋数が減ることで利回りが低くなるというデメリットがある。

 

さらに「ある物件」はエレベーターの管理費用や、新築であればアパート・マンション建設時の設置費用が掛かる。エレベーター管理は共益費や管理費として入居者に負担を求めることもあるので、少しでも安い物件に住みたいと考える入居者の部屋探しにおいてはマイナス要素を生むことも考えられる。

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    本記事は2019年9月刊行の書籍『大家業は寝ててもチャリンチャリン 工務店社長が教える4つの核心』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。最新の情報・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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    桃田 健史

    幻冬舎メディアコンサルティング

    「南向きと北向き、本当に選ぶべきはどっち?」「物件は【ようかん型】ではなく【全戸角部屋型】を選べ」「キャッシュフロー=利益ではない!?」「家賃収入で生活をしてはいけない、その理由」etc. 知って始める、やって楽し…

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