今週も日経平均株価の上値が重い展開が続いている。コロナワクチン接種が進むアメリカでは小売りの売上高が急増するなど、経済が急回復しているという。一方、第3次緊急事態宣言の延長に追い込まれた日本は経済の低迷が続く。今後、株価はどう動いていくのか。「株のお姉さん」として親しまれる雨宮京子氏が株価が下落相場でもあなたの資産を守り、逆に増やすという「株の売り方」の極意を明らかにします。本連載は雨宮京子著『世界一わかりやすい株の売り方』(フォレスト出版)より抜粋し、再編集したものです。

下落に備え「リスクヘッジ」としてカラ売りを活用する

下がると思った株を売って、短期間で利ざやを稼ぐのがカラ売りの醍醐味(だいごみ)と言えるでしょう。しかし、取引手法がそれだけではないことは、これまで示してきた通りです。

 

前項では、塩漬け株についての活用法について記しましたが、利益が乗っている株についても、もちろんカラ売りは活用できます。

 

将来、株価の下落が予想される場合、下落に備えるヘッジ売りがそれで、平たく言えば、保険のようなものと見ていいでしょう。

 

たとえば、悪い経済指標が発表されて、景気の悪化が懸念されたとき、企業業績は減益になることが予想されます。株価が高値圏にあれば、将来、値下がりすることは想像に難くありません。そんな状況の時に、持っている株をカラ売りすれば、それまでの利益を事実上、確定させることができます。

 

その通りに下がった場合は、カラ売りの建玉を買い戻して決済すれば、その分の差益を現金として手にすることができます。そこから戻ると思えば、そのまま持ち続けて、再度、値上がり益を狙えばいいですし、株価が戻らないと判断したときには買い戻すと同時に現物を売却すれば、利益が完全に確定します。

 

一方、予想に反して上昇した場合、今度は現渡しで決済すれば、上昇した分の損は発生しません。現物を保有して同じ銘柄をカラ売りすることは、それ自体が強力な武器になると言ってもいいでしょう。

 

カラ売りで損をするケースで多いのは、信用買いと同様にズルズルと売ったままにして、担がれてしまうこと。特に怖いのは、天井知らずという点です。

 

買いの場合は、現物株投資、信用取引にかかわらず、最悪倒産しても買った額に損が限定されます。ところが、カラ売りだとそうはいきません。株価が上がり続ける限り、損失はふくらみ続けるわけで、損失の最も大きな額は無限大─計ることができない、青天井となってしまうのです。

 

しかしながら、現物を持っていれば、株価が倍になろうが、10倍になろうが、現渡しで現物を処分してしまえば、いっさい損が生じることはありません。

 

そういう意味で、カラ売りを初めて行う場合、ヘッジ売りからスタートし、ある程度経験を積んでから、いろいろな手法にチャレンジしてみることをお勧めします。

部分的リスクヘッジにも空売りは有効

さて、ヘッジ売りは、持っている株数と同数を売る完全なリスクヘッジでもいいですが、部分的にリスクを回避する方法もあります。

 

たとえば、2000株保有している株が大きく値上がりして利が乗っているとき、「もう少し上がりそう」と思いながらも自信が持てずに迷った場合、半分の1000株だけヘッジをかけるのがいいでしょう。

 

その後、上がった場合は、ヘッジをかけた分のみ現渡しをして、残りの現物を同時に売って利益を確定させるか、そのまま持って値上がり益を狙い続けるか、投資のバリエーションが広がります。

 

下がった場合は、カラ売りした分のみ差金決済で利益を確定。先行き、株価が戻らず、現物を持ったまま評価益が減ったとしても、理論上、買いコストは下がりますので、値下がりしたとしても心理的にラクになるのは間違いありません(図表2参照)。

 

[図表2]ヘッジ売りとは?

 

ヘッジ売りは、カラ売りの手法としては地味に感じるかもしれないながら、実際に工夫をして行えば、そうでもないのです。

 

以上に示したように、注文する株数にメリハリをつけるだけでも、リスクの軽減、あるいは攻撃的なポジションが形成できます。その場その場のシチュエーションによって、取引の手法を工夫してみましょう。

 

 

雨宮京子
雨宮総研代表 

 

 

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