
宗吉敏彦はリーマンショックに巻き込まれ650億円の負債を抱えて倒産。いったん経済の表舞台から姿を消した。リーマンショックで地獄に堕ちた男はアジアで再起のチャンスをいかに掴んだのか。宗吉とともに躍進するアジア不動産市場の潜在力と今後の可能性を探る。本連載は前野雅弥、富山篤著『アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。
物件が売り出し初日に売り切れる「即日完売」
宗吉敏彦率いるクリードがベトナムのプロジェクトで二人三脚を組むのは、「ホーチミン市で一番、そして10年後にはベトナムで一番のディベロッパーになる」と語るアンギアだ。買えば上がる物件——。そんな口コミ効果もあってか、アンギアは急成長し、今ではベトナム国内で有数の不動産会社である。
不良資産化したプロジェクトも立て直せる
それにしても買えば上がるマンションとは。いったい秘訣はどこにあるのか。まずブランド力だ。ホーチミン市内の大型モデルルームを訪れてみると、いかにアンギアがそのブランド力を大切にしているかが分かる。モデルルームに置いてあるタイ製の家具は、雰囲気がモダンでセンスもいい。
入り口には足を置くだけでビニールのフィルムが自動的に靴底を覆ってくれる機械があり、モデルルームは清潔さを保っている。「今どきのライフスタイル」の象徴といえ、モデルルームには雑誌やホームページ用に若い女優たちが日替わりで撮影にやってくる。

単なるイメージだけではない。住人の視点から見た細やかな設計や工夫は、他のベトナムの物件にはなかなか見られない。「商品づくりにこだわり抜いた」(グエン・バ・サン社長)アンギアならではだ。
具体的にはエアコン。蒸し暑いベトナムではベッドに寝ている人に直接風が当たる場所に設置するケースが多い。しかし、アンギアは違う。あえてベッドから離し、ベッドサイドから風を送る。ガラスの仕切り板を設け、寝ている人の側面からやわらかく風を送る工夫も施した。
窓もまた同様。ベトナムではリビングなどの窓は胸の高さに取り付けるのが一般的だが、アンギアは膝の位置までグッと下げる。窓のスペースを広げることで、部屋の開放感が増し雰囲気が華やぐ。
こうした配慮は施工経験とユーザーからの声の集積の結果だ。ではなぜ、アンギアはそれができるのか——。実は提携しているクリードのノウハウを活用しているのだ。2015年12月期以降、アンギアとクリードはベトナムで二人三脚、共同でプロジェクトを手がけている。部屋の設計やデザインなどもクリードが全面的にサポートしており、これがアンギアの扱う商品の価値を大きく引き上げている。
それが証拠にクリードとの提携以降、アンギアが手がけたプロジェクトは全部で6案件だが、いずれも好調だ。ほとんどの物件が売り出し初日に売り切れる「即日完売」状態だ。
立地と価格のバランスもうまい。実はアンギアが手がけるプロジェクトの多くは「7区」にある。この立地こそアンギアのプロジェクトが強い理由だ。
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