中高年を14年間追跡…見えてきた高齢者困窮の実態
増え続ける高齢者ですが、実際の暮らしぶりはどのようなものなのでしょうか。見ていきましょう。
厚生労働省では、2005年時点で50~59歳だった中高年世代を追跡調査しています(『中高年者縦断調査』)。2019年の第15回調査で、第1回調査からの14年間の健康状態を聞いてみると「第1回からずっとよい」が男性40.4%、女性41.7%。「健康維持のために心がけていること」は、男性で「適度な運動をする」が13.9%、女性で「バランスを考え多様な食品をとる」が19.2%。運動で健康維持を図る男性と、食事で健康維持を図る女性、という違いが見てとれます。
また「余暇・社会参加活動状況」を見ていくと、14年間、「趣味・教養」を続けてきた人は21.3%と最も高く、「スポーツ・健康」15.4%、「地域行事」6.8%となっています。
さらに「心の状態」も「余暇・社会参加活動」を継続している人のほうが、まったくしていない人、しなくなった人よりも10ポイント程度良いという結果に。アクティブな高齢者が多く、その活動が健康にも寄与している様子が伺えます。
高齢者の就業状況について見ていきます。
同調査で「正規の職員・従業員」は第1回38.5%から第15回4.1%と減少、「パート・アルバイト」は第1回16.8%から第15回16.9%とほぼ横ばいの状況です。さらに「いつまで仕事がしたいか」については「65~69歳」が56.4%、「70歳以降」が39.0%。その理由としては、「生活費を稼ぐため、仕事をしなければならない」が最も高く、51.2%。つまり高齢者の約2割は、70歳以降も「経済的理由から働かざるを得ない」というのが現状です(図表2、図表3)。
厚生労働省の『被保護者調査年次調査』によると、生活保護受給者はここ10年ほどは横ばいで推移しているものの、65歳以上に限ると増加傾向にあります。余裕のある高齢者と、余裕のまったくない高齢者……二極化が進んでいます。
必死で働いている現役世代からすると、定年後も「働きたくて働いているわけではない」という将来は避けたいところ。資産形成に向けての早め早めのアクションが必須です。
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