65歳以上の高齢者の主な死因として、「悪性新生物(がん)」、「心疾患」、「老衰」に続く第4位にあげられるのが「脳血管疾患」です。生活習慣が原因の発症が多く、初期症状に気づくことができれば重症化を防ぐことができます。今回は医師である梶川博氏・森惟明氏が、「脳血管疾患」の検査方法について解説していきます。

脳卒中の患者数は「癌」の1.5倍、心臓病の3.5倍

脳神経外科が診療科(標榜科)名として定着しており、一般に脳外科とは略しますが、神経外科とはいいません。英語では脳神経外科はNeurosurgery(ニューロサージャリー)、専門の脳神経外科医はNeurosurgeon(ニューロサージャン)といいます。

 

脳卒中で死亡する人は減っているにもかかわらず、入院治療を余儀なくされている人が多いのは、ひとたび脳卒中に罹ってしまうと、麻痺や、言葉の障害、意識がはっきりしないなど、社会復帰が難しい症状が後遺症として残るからです。また、脳卒中は「寝たきり」の最も多い原因です。

 

脳卒中で入院して治療を受けている人は、「癌」の1.5倍、心臓病の3.5倍にも上ると言われています。脳卒中の入院患者はすべての入院患者の実に16%を占めています。この脳卒中の専門治療は、慢性期にも主に脳神経外科医と脳神経内科医の手に委ねられています。

 

基幹病院などの総合病院や脳神経外科専門病院における脳卒中診療は、脳神経外科医、脳神経内科医、麻酔科医、循環器科医などによる総合診療体制が整っています。脳神経外科医と脳神経内科医の協力診療体制が理想的です。

 

脳梗塞超急性期では、内科的治療法と外科的治療法を刻々選択していかねばなりません。急性期や維持期においても、治療法選択は両診療科の合議制がとられていることが患者さんにとって理想的です。我が国では現在、脳神経外科医が約8000人いますが、日本の脳神経外科医は手術だけをしているわけではありません。脳卒中救急診断から、手術的治療のみならず薬物療法を含む非手術的治療も行い、総合的かつ専門的な知識と診療技術を持って、脳卒中の診断・治療・予防を行っています。

 

しかしながら、近年では脳卒中を主領域とする脳神経内科医が確実に増加しつつあり、脳神経外科医の守備範囲が狭まってきています。それによって両診療科の専門性や分担制が高まり、今後は脳卒中診療がより効率的になっていくと考えられます。

 

 

※本記事は連載『脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法』を再構成したものです。

 

梶川 博

医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長

 

森 惟明

医学博士

 

 

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脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法

脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法

梶川 博 森 惟明

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢になるにつれて発症のリスクが高まる脳梗塞。 国民病ともされる脳梗塞の種類や予防法、治療法を知ることで、ならない工夫、なってからの対応を身に付けましょう。 「三大疾患に負けないシリーズ」第1弾!

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