日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、社会問題となっている「児童虐待」に焦点をあてていきます。

増加する「児童虐待」…悲劇の連鎖を止めるには

近年、児童虐待はニュースの中心にあがることが多く、結果、通報の増加に繋がっている……そのような見方があります。報道がされるたびに、悲劇が繰り返されぬよう、防止策が強化され、実際にうまく機能している部分もあれば、まだ上手くはいっていない部分もあります。「虐待かもと思ったら……」、そんなときのための児童相談所虐待対応ダイヤル「189(いちはやく)」などもありますが、「間違えだったらどうしよう」と躊躇してしまうことも。しかし社会問題化することで、確実に世間の興味・関心は高まっているといえるでしょう。

 

しかしどんなに社会の仕組みがしっかりしようとも、児童虐待が無くなるとはいえません。そもそもなぜ児童虐待が起きてしまうのか。古くから「貧困」との関係がいわれてきました。

 

古い資料ですが、厚生労働省の審議会等のひとつである社会保障審議会児童部会の『第1次報告から第4次報告までの子ども虐待による 死亡事例等の検証結果総括報告 』では、 虐待による児童の死亡事例のうち、「生活保護世帯」「市町村民税非課税世帯」「市町村民税非課税世帯(所得割)」の合計が2006年で84.2%を占め、貧困世帯に集中しているとしています。

 

厚生労働省による「国民生活基礎調査」(2019年)では、可処分所得の中央値の半分に満たない世帯である「貧困層」は全体の15.4%にもなり、「子どもがいる現役世帯」(世帯主が18歳以上65歳未満で子どもがいる世帯)で12.6%、そのうち「大人が一人世帯」では48.1%、「大人が二人以上世帯」では10.7%であるとしました(関連記事:『子育てする「8世帯に1世帯は貧困層」…悲惨すぎる日本の現状』)。

 

なぜ貧困に陥るのか。一概に言えませんが、日本は働いても働いても貧困である、いわゆる「ワーキングプア」が世界的に見ても多く、その一因が「非正規雇用の拡大」だといわれています。このコロナ禍、企業業績が落ち込むなか、職を失ったという声も聞きます。その多くは、非正規雇用者です。

 

単に虐待を防止する仕組みや制度を充実させるだけでは、虐待は無くならない……。経済や雇用の問題も同時に解決しなければいけないとは、なかなか高いハードルです。

 

 

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