不人気の条件がある物件でも工夫次第で、人気物件にすることができます。税理士で、自身も賃貸住宅を経営する川口豊人氏が赤字不動産の黒字化の秘訣について解説します。

専用庭付きのマンションがあってもいいのではないか

また、ある物件では、3階建ての1階の人気がなく困っていました。3つの空室が出て、なかなか次の入居者が決まらずに困っていたのです。1階の住まいには、防犯やプライバシーの面で不安を感じる女性が多いのでしょう。シングル向けだけではなく、ファミリー向けでも住居での滞在時間の長い主婦が敬遠するため、なかなか借り手がつかないようでした。

 

私自身で経営している物件なのですが、私はまずその物件の周辺を歩いてみました。

 

何度も歩いていると、一戸建てが多いエリアだけど、一戸建てはまず100%持ち家で、賃貸は見当たりません。アパートはけっこうたくさんあるのですが、どれもごく平均的なつくりで、特にこれといって特色がありません。

 

そこで、1階なのだから思い切って庭を付けてあげればいいのではないかと考えました。それも、単に庭として利用できますということではなく、具体的に庭を使った生活をイメージできるように、玉砂利を敷きつめてテーブルや椅子をセット、ソーラー式のLEDを設置するなどお洒落感も演出しました。

 

普通であれば、プライバシーや防犯面から嫌われるマイナス条件を逆手にとって、ここでは普通の賃貸住宅では味わえない生活を楽しむことができることを強調したわけです。その庭で家族が楽しんでいれば、周囲の住まいの人たちや近隣の人たちとの交流も進みそうです。特に震災以後、地域とのつながり、交流、絆といったことが見直される傾向が強まっていますから、これはきっとうけるに違いないと思いました。

 

実際、予想以上に人気を集めて3戸ともにすぐに埋まりました。

 

そんな演出にはたいへんな費用がかかるのでは――そう思われる方も多いでしょうが、そんなことはありません。たしかに、庭に玉砂利を敷きつめるのは、造園業者などに頼むと1戸当たり30万円ほどかかり、3戸だとそのほかの費用まで含めると軽く100万円を超えてしまいます。しかし、ホームセンターなどに足を運び、自分で玉砂利を買ってきて敷きつめれば3戸分が7万円ほどですみました。

 

そのほか、さほどのお金をかけずに実行できる工夫はいろいろあるはずです。たとえば、この物件では庭にミストシャワーを設置しました。通常のマンションではお目にかかれないので人気になるはずです。

 

このミストシャワーもやはり専門業者に頼むと相当な予算がかかりますが、実はホームセンターなどでミストシャワーのシャワーヘッドが1000円ほどで手に入ります。あとはホースで水道につなぐだけです。

 

要は、その気になって自分でやるかどうかということです。何でも人に頼んでいると高くつきますが、やれることは自分でやるようにすれば、少ない予算でも差別化を図ることは可能なのです。

 

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マンションオーナーの赤字脱却術

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川口 豊人

幻冬舎メディアコンサルティング

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