細分化される相続財産、納得できない相続人たち
上述したように、仁美さんには配偶者も子どももありませんので、相続人はきょうだいになります。仁美さんは7人きょうだいですが、山田家の次女にあたる姉以外、全員亡くなっています。そのため、仁美さんの、すでに亡くなっている兄・姉・弟の子どもたちが、それぞれ代襲相続人となります。
存命の姉の相続割合は1/6ですが、代襲相続人となる甥姪たちは、自分の父親あるいは母親が相続するはずだった1/6の財産を、きょうだいの人数で割ったものが相続分となります。
すると、4人きょうだいである真理子さんは、1/6をさらに4で割った、1/24となります。これまで仁美さんにかいがいしく尽くしてきたのに、このような資産配分となり、真理子さんは納得ができません。
真理子さんは、体の弱った叔母をサポートし、最期を看取ったことから、ほかの相続人に寄与分を主張しましたが、ほかの相続人たちは受け入れません。
「そもそも、埼玉のおじいちゃんとおばあちゃんは、独身の仁美おばさんだけひいきした。だから、うちの親がもらえるはずだった分を戻してもらう」
いとこたちの言い分は、おおよそ上記のようなものでした。話し合いに疲れた真理子さんは、相談できる先を探して、筆者の事務所に行きついたのです。
親の代の相続まで持ち出され…遺産分割協議は紛糾
もし仁美さんに配偶者や子どもがいれば、相続税の申告などは自ずと両者のいずれかが手続きの窓口となりますが、亡くなった仁美さんの相続人は、高齢の姉以外すべて甥姪であり、ましてやこれだけの人数です。話がまとまらないのは当然です。
相続人たちのスケジュールを必死の思いですり合わせて設定した打ち合わせの席は、早々からヒートアップしました。それぞれが主張を繰り返すばかりで、話し合いは紛糾。ついには親世代の相続までさかのぼった不平不満まで飛び出すありさまで、収拾を図るのはもはや不可能に見えました。しかし、遺言書がありませんから、どのような形であっても遺産分割協議を行い、全員を納得させるしか方法がないのです。
全員が引き揚げたあと、筆者と真理子さんは事務所のソファにぐったりと座り込んでしまいました。
疲れの色を隠せない真理子さんでしたが、覚悟を決めたように顔を上げると、
「仁美叔母さんには、本当に助けてもらったんです。叔母さんの相続、私が先頭に立って、しっかりとかたをつけたいと思います」
筆者の目を見て、はっきりといいました。このような経緯で、真理子さんは仁美さんの遺産相続の音頭をとることを決意し、筆者も期限内に着地させられるよう、万全でサポートするとお伝えしました。
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