「バブルと言うならバブル」極めて活況な市場でどう儲けるか?

宗吉敏彦はリーマンショックに巻き込まれ650億円の負債を抱えて倒産。いったん経済の表舞台から姿を消した。リーマンショックで地獄に堕ちた男はアジアで再起のチャンスをいかに掴んだのか。宗吉とともに躍進するアジア不動産市場の潜在力と今後の可能性を探る。本連載は前野雅弥、富山篤著『アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。

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ベトナムは高度経済成長の日本と似ている

新しいベトナムのパートナー

 

ベトナムのビジネスのスタイルは分かってはいたが、それでも宗吉敏彦はもう少し若い現地の新興企業とも仕事をしてみたかった。

 

「ベトナムの市場環境は高度成長期の日本に似ている。成長意欲にあふれている」

 

「古い体質に浸っていない若い経営者と仕事がしたい。俺が欲しいのはスピードだ。うかうかしていたらこの国の成長の果実を取りこぼしてしまう。老舗企業とは別に、もう一つ若い会社を探してくれないか」

 

宗吉敏彦氏はもう少し若い現地の新興企業とも仕事をしてみたかったという。(※写真はイメージです/PIXTA)
宗吉敏彦氏はもう少し若い現地の新興企業とも仕事をしてみたかったという。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

宗吉はベトナムの駐在員事務所長の山口真一に依頼した。山口はホーチミン中の不動産会社をかけずり回った。全部で30数件、モデルルームを1つずつ回った。夕方のスコールの時はホーチミン市の中心地であっても道路が水没、長身で足の長い山口でも膝まで泥水につかった。泥水につかりながら山口はホーチミン中のマンションのモデルルームを回った。

 

山口は言う。

 

「どれも『こんなモデルルームを造る会社からマンションを買うのはちょっとどうかな』と躊躇したくなるものが多かった」

 

しかし、回っているうちに「これはいいんじゃないか」というモデルルームを見つけた。ベッドには高級なクッションが置かれ、本棚の脇にはベトナムではまずお目にかかれない、しゃれた地球儀が飾ってあった。聞くと、この会社の社長夫人のホー・ティ・グエン・アンがわざわざタイにまで出かけて買ってきたものだという。以前は不動産サービス大手のCBREで働いた経験があり、ビジネスの勘所もいい。

 

「この会社、いけるんじゃないかな」

 

2015年のことだった。

 

この会社こそ現在、クリードがベトナムのプロジェクトで二人三脚を組むアンギアだった。当時、社員数は100人そこそこ。他社が造ったマンションの販売を請け負う会社だった。どこにでもある街のちょっとした不動産屋。そんな風情だったが、社長のグエン・バ・サンはその辺のどこにでもいる社長とはまるで違った。山口が会うと「僕らは最高の仕事をする。ホーチミン市で一番、そして10年後にはベトナムで一番のデベロッパーになる」。自信満々にきっぱり言い切った。

 

社長のサンは身長160センチと小柄だったが、年齢は30歳を少し過ぎたくらい。若さがあり、全身にエネルギーをたぎらせていた。山口は一目で気に入った。山口から「いい男がいました。ぜひ会ってみてください」と報告を受けた宗吉も、サンに会うとやはり気に入った。

クリードグループ 代表

1965年生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、伊藤忠商事に入社。不動産開発やコーポレートファイナンスに従事したのち、1996年クリードを設立。
当時の国内不動産業界で一般的でなかったDCFの概念を取り入れた不動産投資・評価にいち早く着目し事業をスタート、私募不動産ファンド・REIT運用等を手がける。
2012年からは、マレーシアを皮切りに本格的に東南アジアでの不動産投資に着手。現在、シンガポールに拠点を移し、マレーシア、カンボジア、ミャンマー、バングラデシュ、ベトナムで事業を展開している。

著者紹介

日本経済新聞 記者

東京経済部で大蔵省、自治省などを担当後、金融、エレクトロニクス、石油、ビール業界等を取材。現在は医療、不動産関連の記事を執筆。著書に『田中角栄のふろしき』(日本経済新聞出版社)がある。

著者紹介

日本経済新聞 記者

2014年よりハノイ支局長としてベトナム全般を取材。現在は日経産業新聞の海外面デスクを務める一方、外国人労働者問題、ASEANなどを取材。著書に『現地駐在記者が教える 超実践的ベトナム語入門』(アスク出版)がある。

著者紹介

連載リーマンの敗者、沸騰するアジアの不動産市場で奇跡の復活

アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」

アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」

宗吉 敏彦 前野 雅弥 前野 雅弥

プレジデント社

クリードの奇跡の主人公、宗吉敏彦は、2009年1月9日、リーマン・ショックに巻き込まれ650億円の負債を抱えて倒産。いったん経済の表舞台から姿を消したものの再びアジアで復活したかと思ったら、世界的な新型コロナウイルスの…

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