日経平均株価が2月15日に30年ぶりとなる3万円台を突破する一方で、2月26日には下げ幅が1200円を超え、終値は前日比1202円安い2万8966円と2万9000円を割り込む大幅下落した。今年に入るとコロナのワクチン接種が始まり、世界的な景況感の改善期待が高まっていたが、株価は乱高下の展開が始まった。「株のお姉さん」として親しまれる雨宮京子氏が、株価が下落相場でもあなたの資産を守り、逆に増やすという株の「カラ売り」の極意を明らかにする。※本連載は雨宮京子著『世界一わかりやすい株の売り方』(フォレスト出版)より抜粋し、再編集したものです。

「売り」を知っておかないと株式投資ができない時代に

「売り」を知っておかないと株式投資ができない時代に

 

1980年代の土地バブル、その後のITバブルといった「バブル」と呼ばれたときは、どんな銘柄であっても現物で保有し続けていれば、いずれ上がるだろうなどと考えていた投資家が多かったのではないでしょうか。

 

実際に、最も株式市場が活況だった1980年代のバブルのときはそうでした。1部上場企業のすべての銘柄の株価が500円以上となり、文字通り、どんな銘柄も上がった経緯があります。だから、バブルだったのでしょうけど…。

 

ところが、今はそんなふうに思ってはいけません。その理由を以下に記します。

 

まず、前の項で記したように、日本の株式市場は右肩上がりの相場が完全に終わったとは言わないまでも、人口減少などでそうなる可能性が以前より高くなっているためです。

 

過去の反省から、政策当局もバブルを容認するような政策は取らないでしょう。バブルのような全部の銘柄が上がるときがくる─―正直に申し上げれば、それは古い相場観であると思います。

 

もう1つは、マーケットに参加する投資家の見方そのものが変わってきた点です。

 

より利益成長が見込める企業に資金が向かうようになり、それ以外の銘柄はインデックスに連動する運用資金を除いて、資金が向かいにくくなりました。需給思惑だけで上昇する「仕手株」と言われる銘柄も今はなくなりました。

 

つまり、成熟し切った株は、生まれ変わるほど業容が一変しない限り、右肩上がりの上昇が見込めにくくなっているのです。

 

こうした銘柄は、新規買いの対象として注目されなくなっている半面、リーマンショックのような暴落局面では、流れに逆らうことなく大きく下げてしまうでしょう。業績動向に応じて、長期間、決まった値幅の範囲で推移する、チャート上のボックス圏で株価が上下することになります。

 

以上の点から考えると、一部の成長株を除いて、長期的な右肩上がりの相場は期待できません。「持ち続ければ何とかなる!」といった浮世離れした考えは捨て去るべきです。 しかし、ボックス圏で推移すると割り切ってしまえば、それを逆手に取ってチャンスが生まれることになります。株式投資の基本は、言うまでもなく「安いところで買って、高いところで売る」ことです。

 

今まで「買い」だけで投資を行ってきた方は、たとえば、ボックス圏で動く銘柄については、下がった場面でしか投資の機会がありませんでした。ところが、「売り」で入ることを考えれば、カラ売りを活用して上がった場面で売り、下がるときに買い戻す手法を使えば、「買い」と「売り」で2回の儲けのチャンスを生かすことができます。

 

今の株式市場は、上昇だけを考えていては、投資の機会が半減してしまいますし、持ち続ければ何とかなるという時代ではなくなりました。だからこそ「売り」で入る投資法を知っておく必要が重要と考えています。

 

 

雨宮京子
雨宮総研 代表 

 

 

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本連載は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、フォレスト出版、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

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