日経平均株価が2月15日に30年ぶりとなる3万円台を突破する一方で、2月26日には下げ幅が1200円を超え、終値は前日比1202円安い2万8966円と2万9000円を割り込む大幅下落した。今年に入るとコロナのワクチン接種が始まり、世界的な景況感の改善期待が高まっていたが、株価は乱高下の展開が始まった。「株のお姉さん」として親しまれる雨宮京子氏が、株価が下落相場でもあなたの資産を守り、逆に増やすという株の「カラ売り」の極意を明らかにする。※本連載は雨宮京子著『世界一わかりやすい株の売り方』(フォレスト出版)より抜粋し、再編集したものです。

そう簡単には日経平均が3万8000円まで回復しない

上昇相場が続くというのは幻想にすぎない

 

日本の株式市場の歴史をひもといてみると、戦後からしばらく、何度も大きな山と谷を形成しながら上昇してきました。

 

その間、「スターリンショック」や「ブラックマンデー」と呼ばれる大暴落も経験していますが、戦後の復興から、高度成長経済と何度か起きた不況、「オイルショック」「バブル経済」と日本の経済の動きを、鏡のように反映してきたのが株式市場だったのです。

 

そして、大転換が1989年12月29日に訪れました。日経平均株価は3万8915円の史上最高値を更新したあと、バブル経済が弾けたのです。この頃の日本経済、そして株式市場は、最も輝いていたと言えるかもしれません。

 

バブル崩壊後は、失われた20年として、日本がデフレ経済に苦しんだのは言うまでもありません。その後、「ITバブル」や「新興国バブル」などありましたが、ITバブルも崩壊、新興国バブルも「リーマンショック」で崩れ去ったのです。

 

そして現在は、2012年12月に当時の民主党政権から自公連立政権に変わったのをきっかけに始まった「アベノミクス相場」が続いています。

 

日経平均は2万円台まで回復し、1980年代のバブルが崩壊したあとでは最も高い水準で推移していますが、1989年12月の高値にはいまだ遠くおよびません。2000年に産業構造の変化を踏まえて、日経平均の採用銘柄の大幅入れ替えがあったため、一概に単純な比較はできませんが、その間、米国株式市場でダウが最高値を更新する中、日本の株式市場は約30年、調整から抜け出していないというのが厳しく見た現実です。

 

では、今後はどうなるのか?

 

もちろん、景気は好況と不況を繰り返しますし、技術の発展というのも国の経済に貢献します。しかしながら、日本は今後も少子高齢化が進み人口が減少、内需拡大は期待できません。

 

加えて、国際競争力も落ちてしまっているので、そうした状況を踏まえると、そう簡単には日経平均が3万8000円まで回復するとは考えにくいと思われます。

 

そうです。かつてのような右肩上がりの上昇相場というのは、今の日本では期待しづらいのです。仮に上昇するとしても、かつてのように日本は高成長が見込めないので、1本調子のような上昇にはならないでしょう。

 

株価が下落するリスクが大きい─―「カラ売り」を活用できる場面が、今後は何度も訪れるはずです。カラ売りの技術が今後、重要な投資手法となると考えているのは、こうした理由からなのです。

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本連載は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、フォレスト出版、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

世界一わかりやすい株の売り方

世界一わかりやすい株の売り方

雨宮 京子

フォレスト出版

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