株高のウラに「株主重視の企業姿勢」…今後の市場はどうなる?

世界的な株高傾向が続いていますが、日本では2021年2月、日経平均株価が30年ぶりに3万円台に到達するなど、市場は大きく盛り上がりました。しかし、30年前のバブル時代と今回では、その事情は大きく異なります。なぜこれほどまでに株価は上昇したのでしょうか。そして今後の展開にはどんなシナリオが考えられるのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が投資チャンスを踏まえながら解説します。

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バブル期まで「会社の儲け」は従業員のものだった

高度成長期の日本企業は「従業員の共同体」でした。株主には資本金を拠出してくれたお礼として「応分の謝礼」を払うものの、会社が儲かった分は従業員の賃上げ等に使うのが基本だったわけです。

 

そうした企業文化はバブル期まで続きました。株主より、従業員や取引先や取引銀行等に注意を払う企業経営者が多かったのです。

 

企業文化が変化したのは、バブル崩壊後の長期低迷期です。日本経済が低迷を続ける一方で米国経済が好調を続けていたため、「日本的なやり方を米国的なやり方に改めなくてはならない」と考える人が増えたのです。グローバル・スタンダードという言葉で米国流を導入しようとしたわけですね。

 

この言葉自体はリーマン・ショック以降聞かれなくなりましたが、「企業は株主の金儲けの道具だ」という企業観は確実に浸透しました。さすがに終身雇用といった根幹部分は残っていますが、「儲かったら賃上げではなく配当をする」という文化はしっかりと定着したようです。

 

(2021年2月、約30年半ぶりに3万円台を回復/PIXTA)
(2021年2月、約30年半ぶりに3万円台を回復/PIXTA)

バブル景気とアベノミクス景気の「決定的な違い」

ちなみに、法人企業統計でバブル景気とアベノミクス景気における人件費、配当、内部留保の変化を見たのが、下記の図表1と図表2です。ちなみに、景気の谷は1986年11月と2012年11月、山は1991年2月と2018年10月でした。

 

バブル景気のときは、付加価値が69兆円増加しましたが、その過半の37兆円は人件費の増加となり、株主帰属(配当と内部留保の合計)は8兆円しか増えませんでした。

 

(出典)「財政金融統計月報第474号」 の損益および付加価値(全産業)
[図表1]バブル景気における人件費、配当、内部留保の変化 (出典)財務総合政策研究所「財政金融統計月報第474号」:損益および付加価値(全産業)

 

それに対し、アベノミクス景気のときには付加価値が42兆円増えたうち、人件費はわずか12兆円しか増えず、株主帰属は38兆円も増えたのです。

 

(出典)「財政金融統計月報第811号」 の損益および付加価値(全産業)
[図表2]アベノミクス景気における人件費、配当、内部留保の変化 (出典)財務総合政策研究所「財政金融統計月報第811号」:損益および付加価値〈全産業〉

 

これを喜ばしいと考えるのか、悲しむべきと考えるのかは人それぞれでしょう。労働者の立場からすれば悲しむべきことでしょう。景気という観点からも、残念なことだといえそうです。労働者の賃金は消費に回りますが、配当や内部留保は消費や投資にあまり回りませんから。

 

しかし、本記事は株価に関する論考であるため、株価という観点から考えると、これは株価の重要な上昇要因だといえるでしょう。

 

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経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載経済評論家・塚崎公義の「身近なテーマで経済センスを磨く」実践講座

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