あなたの会社に「税務調査は絶対に来ない」という保証はありません。もしものとき、税務調査官からの「質問」にどう対応すべきかわかりますか? ここでは元審判官の筆者が、よくある質問を勘定科目ごとに解説します。今回のテーマは「役員給与」について。※本連載は、尾崎真司税理士の著書『税務調査リハーサル完全ガイド(第2版)』(中央経済社)より一部を抜粋・再編集したものです。

役員賞与が「使用人分の支給」として認められる条件

税務調査官の質問②

「取締役であるaさん、bさんに支払っている賞与は、使用人分としての支払いとのことですが、それぞれの役職を教えてください。」

 

【調査官が知りたいこと】

1. 使用人としての地位、肩書を有しているか?

2. 他の使用人と比較して、支給額は相当であるか?

<対応と対策>

1. 使用人として特定の部署に配属し、職制上の地位を与える

 

⇒使用人兼務役員に対する賞与のうち、使用人分は損金の額に算入されます。ただし、その者が実態として使用人兼務役員であると認められるかどうかについては、その者が使用人としての地位、肩書を有し、使用人としての職務に従事しているかどうかがポイントになります。

 

営業部長、経理部長など、特定の部署に属し、他の純然たる使用人と同様の肩書を有している場合には使用人としての地位を有していることになります。一方で、営業担当、経理担当などの場合には、特定の部署に属しているとはいえず、使用人としての地位を有していることにはなりません。

 

使用人兼務役員となる者、ならない者を整理すると、【図表】のようになります。

 

【図表】使用人兼務役員となる者、ならない者

 

2. 比較対象となる他の使用人に対する支給額と異なる場合には、その異なることにつき合理的な理由が必要となる

 

⇒使用人兼務役員である者に対して賞与を支給する場合、役員分は損金不算入になることから、本来は役員分であるものを使用人分として支給すれば、全額損金算入になるのではないかと考える方もいるかもしれません。

 

しかし、使用人分としての適正額を超える部分の金額は、役員分として支給したものであるとして、損金不算入になります。この場合の使用人分としての適正額は、その者と同じ職制にある他の使用人に対して支給した賞与の額が基準になります。

 

必ずしも同額である必要はありませんが、他の使用人よりも特に支給額が多い場合には、多いことにつき合理的な理由がないと、役員賞与と認定されることになるでしょう。

 

 

尾崎 真司

税理士/あいわ税理士法人 パートナー

元国税不服審判所国税審判官

 

 

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調査官の「質問」の意図を読む 税務調査リハーサル完全ガイド(第2版)

調査官の「質問」の意図を読む 税務調査リハーサル完全ガイド(第2版)

編:あいわ税理士法人

著:尾崎 真司

中央経済社

税務調査官の「質問」にどう応える? 国税不服審判所に勤務経験のある著者が解説! 自分の会社は税務調査の対象にはならない…そう油断してはいませんか。確かに調査の頻度に差はあるかもしれませんが、調査に来ないという…

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