ダラスを本拠とする世界最大(2019年の収益に基づく)の事業用不動産サービス会社、シービーアールイー株式会社(CBRE)。今回は、同社の「ジャパン特別レポート - オフィス利用に関するテナント意識調査2020 2021年2月」より一部抜粋し、18の調査データから「コロナ収束後のオフィスのあり方」について考察。そこから見えてきたのは、リモートワーク導入拡大も生産性低下という矛盾でした。

入居ビルに求める条件1位は「交通利便性」で変化なし

入居ビルに求める条件の変化

では、オフィス選定における条件に変化はあるのだろうか。

 

テナントが移転先ビルを検討する際に重視する項目は、「交通利便性」、「コスト」、「立地」と、1位から3位は2019年の前回調査と変わっていない(Figure16)。

 

 


リモートワークにより、従業員が働く場所は分散している。しかし、オフィスへの出社を想定した場合は、やはり大多数の従業員が集まりやすいターミナル性の高い駅周辺など、交通利便性の高い立地が求められるだろう。

 

また、働く場所がボーダーレスになるとしても、クライアントとのコミュニケーションも疎かにできず、業務集積のメリットも手放すことはできないという意向もうかがえる。

 

一方、コロナ禍を契機として重要度が高まった項目として、「セキュリティ」、「BCP対応」、「通信環境」、「専有部の形状」などが挙げられる。柔軟な働き方を実現するため、これらの重要度が高まったものと考えられる。これらの条件を満たしやすいのは、比較的設備水準が高いビルだろう。

関心が高まる「ESG」は、今後ビル選定の重要な条件に

新しいオフィスビルの潮流

近年、オフィスビルの環境認証など、ESG*6に配慮したビルへの関心が高まっている(Figure17)。

 

6:環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)といった企業の社会的責任に配慮した持続可能性のある経営や取り組み)

 


一方で、ESGに配慮したビルに移転する場合にテナントが許容・検討できる賃料上昇率は、2019年の前回調査から大きな差は見られなかった(Figure18)。

 

 

ESGに対する関心は高まっているものの、2020年は景気の先行きに不透明感があるなか、賃料負担増大に慎重になっている企業が多かったとみられる。

 

とはいえ、ESGに対する企業のコミットメントはこれまで以上に求められている。株主をはじめとするステークホルダーのESGに対する関心は高まっている。また、政府もカーボンニュートラルへ向けた様々な政策を打ち出している。今後、ESGに配慮したオフィスビルを志向する企業は更に増加するだろう。

 

したがって、企業が移転先ビルを選定する際の条件として、ESGがますます重要度を高めていくことは間違いない。

 

関連記事:ジャパン特別レポート - オフィス利用に関するテナント意識調査2020 2021年2月

 

 

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