相続発生時、片親違いのきょうだいなど「想定外の相続人」の存在に驚くケースは、さほど珍しくありません。しかし、独身のきょうだいがいる場合、その人が亡くなると、親の相続時に解決したつもりの「家族の問題」が意外な影響を及ぼすことがあります。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

遺言書さえあれば、起こりえなかった問題

きょうだいには遺留分の請求権がありませんので、後藤さんの姉が遺言書を残してくれていたなら、会ったこともない異母きょうだいの子どもたちに連絡し、やり取りをお願いする必要はなかったのです。とはいえ、いまさらどうにもできません。

 

 

まずは、代襲相続人となる3人の子どもに「相続の権利がある」ことを知らせるところから開始する必要があります。そのため、筆者の事務所と行政書士が協力して連絡を取り、みなさんそれぞれの希望を聞きながら、遺産分割協議を進めることになりました。

 

後藤さんと妹さん、異母きょうだいの代襲相続人となるお子さんたちのいずれにとっても、一方的な話にならない配慮をしながら、妥当な遺産分割案をご提案していく必要があり、まさにこれからすり合わせを開始するところです。

 

幸い、今回のケースでは話し合いもビジネスライクに進んでいます。とはいえ、異母きょうだいの存在を知っていたのなら、早い段階で対策を立てておくべきで、なによりその点が悔やまれます。それさえできていれば、今回のようなストレスを抱えることなく、相続手続きを終えることができたはずです。

 

もし家族関係に複雑な要素があり、相続時に影響を及ぼす可能性があるなら、早めに対策を取ることをお勧めします。        

 

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

曽根 惠子

株式会社夢相続代表取締役

公認不動産コンサルティングマスター

相続対策専門士

 

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

 

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

 

 

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本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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