65歳以上の高齢者の主な死因として、「悪性新生物(がん)」、「心疾患」、「老衰」に続く第4位にあげられるのが「脳血管疾患」です。生活習慣が原因の発症が多く、初期症状に気づくことができれば重症化を防ぐことが可能です。本連載では、医師である梶川博氏・森惟明氏が、脳血管疾患の半数以上を占め、65歳以上の発症率が上昇を続けている「脳梗塞」の種類や予防法、治療法を徹底解説します。

 

なにかおかしい、と思ったらすぐに受診を (画像はイメージです/PIXTA)
なにかおかしい、と思ったらすぐ受診を(※画像はイメージです/PIXTA)

 

・片方の手足、顔半分の麻痺・しびれが起こる。
・力はあるのに、立てない、歩けない、フラフラする。
・ 経験したことがない激しい頭痛がする(くも膜下出血の場合)。
・ ろれつが回らない、言葉が出ない、他人のいうことが理解できない。
・ 片方の目が見えない。物が2つに見える、視野の半分が消える。
・意識状態が悪い(重症の脳卒中)。
 
[図表1]脳の表面図と断面図


脳卒中(cerebral apoplexy or stroke)という言葉は"なんらかの原因により脳血管系に異常を来し、突然、意識障害、半身不随その他神経学的異常を来した状態"であり、卒然としてあたる、という意味合いで、脳血管障害の急性型(acute form※"brain attack"ということもあります)のことです。

 

脳血管障害(cerebrovascular disorders)や脳血管疾患(cerebrovasculardiseases)には、脳出血、脳梗塞(脳血栓や脳塞栓)、くも膜下出血他があります。ひろく脳血管障害という場合は、これら脳卒中およびその後遺症のみならず、脳動脈硬化症、血管性認知症、高血圧性脳症など慢性(3カ月以上)に経過するものも含まれます。

 

[図表2]脳卒中の鑑別診断

「受診前の脳卒中評価スケール」:ファスト(FAST)

近年、「脳卒中が疑われたらすぐに病院を受診しなければならない」という脳卒中啓発活動が盛んに提唱されています。

 

脳卒中救急の患者さんは、意識障害、頭痛、めまい、麻痺感覚障害、ふるえなどの不随意運動、言語障害、見当識障害などの症状を生じ、救急外来を受診されます。その中でも特に意識障害、頭痛、言語障害、めまいを訴える患者さんに遭遇する頻度が特に高いので、「FAST」の次に述べます。「FAST」とは、受診前の脳卒中評価スケールの1つで、より簡潔に、3つの症状を取り上げた標語です。

 

Face(顔): 顔の麻痺。
質問:うまく笑顔が作れますか? 「イーッ」と言ってみてください。
観察:顔の片側が下がる。ゆがみがある。

Arm(腕): 腕の麻痺。
質問:両腕を上げたままキープできますか? 手のひらを上にして前にならえをしてください。
観察:片腕に力が入らない。片腕が下がる。

Speech(言葉)
質問:短い文がいつも通りしゃべれますか?
観察: 言葉が出てこない。ろれつが回らない。それで……、えーと……、ね……、など。

Time(発症時刻): 症状に気づいたら発症時刻を確認してすぐに119番通報を!

 

米国脳卒中協会では、脳卒中を疑う人を見たら、この3つのテストをするように勧めています。1つでも症状が出ていれば脳卒中の可能性大です。そして、最後に治療にとって重要な要素である発症時刻を加えたものです。

 

 

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    梶川 博 森 惟明

    幻冬舎メディアコンサルティング

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