本当に大丈夫ですか…?大人気「多焦点眼内レンズ」の欠点とは

80代になれば100%の確立で発症する「白内障」。症例が多いゆえに技術進歩が著しく、画期的な眼内レンズが次々と登場している。最近は「多焦点眼内レンズ」に人気が集まっていて、ネットや雑誌でも絶賛する声が多い。しかしその一方で否定的な医師も存在する。「多焦点」は本当にオススメと言えるのか? 年間2000件もの眼科手術を行うスゴ腕ドクター・佐藤香氏が「多焦点眼内レンズのデメリット」について解説する。※本記事は、アイケアクリニック院長の佐藤香氏の語り下ろしによるものです。

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あえて知りたい「多焦点眼内レンズのデメリット」

こんにちは、アイケアクリニック院長、眼科医の佐藤香です。私は普段から白内障手術をたくさん執刀しています。

 

白内障手術とは、濁った水晶体を取り除き、代わりに人工の水晶体として「眼内レンズ」を挿入することで、クリアな視界を取り戻す治療です。

 

眼内レンズには大きく分けて「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」があります。単焦点と多焦点の違いは、名前のとおり「焦点」、すなわちピントの数です。はっきりと見える位置がどれくらいあるのか、という違いです。

 

多焦点には、手元などの「近く」と「遠く」の双方にピントが合う2焦点眼内レンズと、それらに加えて「中間」までよく見える3焦点眼内レンズがあります。

 

最近の多焦点眼内レンズは、近くから中間、遠くまで連続的にピントを合わせることができて、術後はメガネがいらなくなるような製品がたくさん登場しているので、当院でも多くの患者さんが選択しています。

 

術後は快適な生活を送っていて、ほとんどの患者さんが満足されているのですが、だからこそ「本当に欠点はないの?」と気になる人もいるのではないでしょうか。実際に「メリットだけではなく、デメリットも教えてください」と率直なご相談を受けることがあります。

 

実は、かつての多焦点眼内レンズには4つのデメリットがありました。今回はそれが一体どのようなもので、今ではどれほど改善されているのかをしっかりと解説したいと思います。

 

眩しさを感じやすい?「グレア・ハロー」という症状

まず1つめは「グレア・ハロー」といって、眩しさに関する症状です。眼内レンズについて調べたことのある人であれば、聞き覚えがあるかもしれませんね。

 

これは暗い場所では光が二重になって見えたり、滲んで見えたりする現象です。日中など明るい場所ではほとんど気になりませんが、夜間に車を運転する人にとっては不便に感じるでしょう。

 

昔の2焦点レンズにおいてはこのグレア・ハローが強く出る場合がありましたが、いま主流となっているレンズにおいてはかなり改良されています。グレア・ハローが出てもまったく気にならないという患者さんが多く、気になるにしても手術直後だけで、徐々に改善されていきます。生活に支障をきたすことはほぼありません。

 

そもそも、手術を受ける前の状態で、白内障の種類によっては症状の1つとしてグレア・ハローの眩しさを感じている場合があります。白内障によるグレア・ハローは、手術後に現れる症状と比較するとかなり不愉快に感じる眩しさです。こういった点からも、術後のグレア・ハローはほとんど気にならない人が多いのです。

 

よってグレア・ハローに関しては、症状の出方には個人差があるものの、あまり心配する必要はないと言えるでしょう。

「ピントが多い分、全体的にボヤけて見える」?

2つめのデメリットは「コントラストの低下」といわれる、見え方の質に関わる問題です。

 

当院を訪れる患者さんには、かかりつけの先生に「多焦点眼内レンズを入れたいのですが…」と相談したら、「多焦点はピント合わせが曖昧で、どこを見てもボヤッとした感じになる。だからおすすめしない」と言われてしまったという人が多くいます。

 

確かに、かつての多焦点眼内レンズには「ピントを何ヵ所にも合わせられる分、どうしても見え方の質が落ちてしまう」というデメリットがありました。

 

とはいえ、これも昔の2焦点においての話です。現在では、たくさんの位置にピントを合わせてもコントラストの低下が起きないように改良された多焦点眼内レンズがどんどん登場しています。

 

また、さらに言えばコントラストの感じ方とはそもそも加齢とともに低下していくものです。そのため、手術によって感度が改善される患者さんのほうが多いのです。

 

よって、術後のコントラスト低下の問題に関しては、患者さんの年齢を考慮して眼内レンズを選ぶとよいでしょう。たとえば10~30代くらいの患者さんは元よりコントラストの低下が起きていないので、眼内レンズ選びには注意が必要です。しかし40代以降なら、現在の新しい多焦点眼内レンズであればどれを選んでも心配ありません。好きなレンズを選んでいただければと思います。

近く、中間、遠く…ピント合わせに慣れるまでの時間

3つめのデメリットは、ピント合わせの「慣れ」の問題です。

 

モノを見るには、目から入った情報が脳で認識されなくてはいけません。基本的には、遠くにあるものであればすっきりと認識できてピントが合うので、手術翌日からよく見えるという患者さんが多数です。一方で、近くや中間にあるものを認識するには、脳が適応するまでに時間を要することもあり、患者さんによってはピント合わせが難しい場合もあります。

 

慣れる早さには、年齢が影響しやすいほか、やはり個人差もあります。翌日からどんな距離もすっきりと認識できる、よく見えるという人もいますが、だいたいの人は1週間ほど、長ければ1ヵ月ほどかかることもあります。

 

慣れるまでは見えたり見えにくかったりとまちまちなので、不安を感じることや疲れ目になることもあるでしょう。しかし白内障手術にかぎらず、どのような治療も早期リハビリが大切です。

 

白内障手術の後は、目を積極的に使うことがリハビリとなります。いろいろな場所を見るうちに脳が適応して、見えやすくなってきますよ。手術直後は手元の細かい文字などがスッキリはっきりとは見えない場合がありますが、必ず徐々に見えるようになりますので、ご安心ください。

 

よってピント合わせの「慣れ」もデメリットというほどの問題ではないでしょう。

手術は成功したが「何となく見えづらい」ケース

最後のデメリットは、多焦点眼内レンズに対する不耐症や不適合症例の問題です。これは、白内障手術は成功していて、見えにくさを生じる要因がまったくないにも関わらず、患者さん本人には「見えにくい」という自覚症状があるケースです。

 

手術自体は問題なく済んでいて、そもそも見えにくくなっている要因がなければ、術前の検査によっても防ぐことは難しいと言えます。とはいえ自覚症状が強い患者さんでも、ほとんどが時間とともに改善していくので、基本的には心配しなくても大丈夫です。

 

ただし、もし不快な症状や「なんだか見えづらい」という状態が3ヵ月以上続くようであれば、多焦点眼内レンズの性能に脳が適応していない可能性があります。基本的には徐々に解消されるのですが、もしもの場合は「単焦点眼内レンズ」に入れ替えて改善させることもあります。単焦点はピント合わせが1ヵ所のみなので、多焦点に比べて構造がシンプルな眼内レンズです。

 

以上、多焦点眼内レンズの4つのデメリットについてお話しました。ご説明したように、昔の多焦点における問題がほとんどですし、万が一のことがあっても解決できる範囲です。

 

とはいえ、手術後に後悔しないためには、眼内レンズや術後の見え方について理解・納得したうえで決めることが何よりも大切です。事前に詳細な説明をしっかりと受けて手術することをオススメします。

 

【動画/手術実績多数の眼科医が解説!多焦点眼内レンズの「デメリット」って?】

 

佐藤 香

アイケアクリニック 院長

アイケアクリニック銀座院 院長

 

 

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アイケアクリニック 院長
アイケアクリニック銀座院 院長 

集中力を要する緻密な作業を得意とし、特に最先端の白内障レーザー手術において抜群の治療実績を誇る。そのほか、網膜硝子体や緑内障の手術も担当。
まぶたの手術やボトックス注射など、眼科医としての視点を活かした目周りの美容にも注力。また、校医を務めるなど、地元住民のかかりつけ医として地域医療にも貢献している。
日々のちょっとした悩み相談から高度な治療まで、総合的な目のケアー「トータルアイケア」の提供を目指す。
現在、注目の眼科女医として、テレビやラジオ、新聞、雑誌などさまざまなメディアに取り上げられている。

http://cataract.eye-care-clinic.jp/

著者紹介

連載「目の病気予防」から「目の美容」まで!スゴ腕ドクターが徹底解説

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