「もう終わったからいいの」病身の母は、倒れた父に背を向けた

術後リハビリ中の母親と認知症の父親が、再び一つ屋根の下に戻ってきましたが、今度は父親が倒れ、危篤状態になってしまいます。しかし、あれほど父に尽くしてきた母親は「お父さんのことは、もう終わったからいいの」と…。在宅医である筆者が、自身の両親の介護や看取りの経験を交えながら、自宅で介護をする家族が抱える問題や悩みを、どのように解決したのかを紹介します。

「お父様が倒れて、救急車で運ばれたようです」

母が通院治療をしていた2016年1月20日のことです。

 

私は大学病院の外来の日で、早朝から家を空けていました。

 

家では、朝、父がいつまで経っても起きてこないので、母が寝室まで見にいきます。

 

そこで、床に倒れている父を発見したのです。いつ、どのぐらいの時間から倒れていたのかは分かりませんが、父はお漏らしをしたままであり、寝ているような状態だったそうです。

 

母はどうしていいか分からず、私の携帯電話に連絡を入れました。運悪く、私は外来診療中だったため電話に出られませんでした。そこで、母は自分のかかっていた病院・主治医のところに電話したのです。

 

「夫が倒れています。どうしたらいいでしょう?」


「すぐに救急車を呼びなさい」

 

やって来た救急車に父を乗せ、母は同乗して病院に向かいました。

 

私のところへも、病院に担ぎ込まれたあとで連絡が入ります。

 

「お父様が倒れて、救急車で運ばれたようです」

 

外来を途中で切り上げて、すぐさま病院へと向かいました。

父の担当医からは「かなり状態が悪い」と…

担当の医師に言われたのは、「このままでは死ぬかもしれない」ということでした。状態は、かなり悪いということです。

 

そのとき、私は「それも仕方ないかな」と思っていました。

 

母は呆然としているだけで、あまり実感がありません。

 

数時間を経たころでしょうか。父はなんとか危機を脱し、一命を取りとめたのです。

 

認知症の人が脳内出血になることはあり得ます。しかし、それは高血圧や糖尿病などから動脈硬化を合併していることがほとんどで、父のように血圧も血糖も正常な事例ではまれです。父の場合、認知症によって異常なたんぱく質、普通は脳内にないようなアミロイドたんぱく質が脳内に沈着し、それが血管内に溜まっていき、血管破綻したと考えられました。

 

ただ、こういった症状を引き起こすにはかなりの時間を要します。それより前に別の症状を引き起こし、それが悪化することのほうが多いのです。内臓疾患であるとか、呼吸器系の問題などです。

 

可能性は高いものの、なかなか脳内出血まで至らない人が多いのに、父の場合はほかの病気にはならずに脳に支障を来したのです。

 

なにしろ父の場合は、普段から血圧も安定していて、常に120程度と肉体的には極めて健康だったからです。

 

父の脳内出血には主治医も驚いていました。

 

以後、父は寝たきりの状態になってしまったのです。

 

(画像はイメージです/PIXTA)
(画像はイメージです/PIXTA)

 

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医療法人さの内科医院院長 

1994年に近畿大学医学部を卒業し、近畿大学医学部附属病院(現・近畿大学病院)第3内科(血液・腎臓・膠原病内科)で研修を行い、大学院を修了。

2001年に国立大阪病院(現・国立病院機構大阪医療センター)総合内科に勤務したのち、2007年から近畿大学医学部附属病院血液内科で講師を務める。2009年にさの内科医院を開業し現在に至る。

自身も一人で両親を介護で看取った経験があり、患者や介護に悩む家族の希望を第一に考えた治療方針を提案している。

著者紹介

連載48歳、独身・医師 在宅介護で親を看取る

48歳、独身・医師 在宅介護で親を看取る

48歳、独身・医師 在宅介護で親を看取る

佐野 徹明

幻冬舎メディアコンサルティング

開業医である父が突然倒れた。父の診療所を継ぎ、町の在宅医としてそして家では介護者として終末期の両親と向き合った7年間。一人で両親を介護し看取った医師による記録。

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