予備校が公表している合格率が8割から9割超えになる仕組みや、医学部専門予備校の授業料が超高額になる理由など、医学部専門予備校にまつわる問題点を医学部専門予備校の経営者である長澤潔志氏が解説します。

どこの予備校も合格率に大きな差はない

いずれにしても、大半の予備校の合格率はデタラメか、何らかの数字のマジックがあると言っても過言ではないわけです。その辺の事情は、あちこちの大学や専門学校がうたっている「就職率100%」と似ているわけです。

 

私が創ったTMPS医学館も、設立当初は生徒がとても少ない状況でした。そこで医学部だけでなく、薬学、看護学、獣医学、歯学志望の生徒も募集しました。それで何とか10人ほどの生徒が集まりました。そんな状況でしたので、合格率は実際、高かったのです。それで80%とか90%という合格率を掲げました。数字のマジックはありませんでした。1人か2人が落ちただけだったのです。もっとも、その1人か2人が医学部志望の生徒でした。

 

その後、医学部志望者が増えてくると、合格率はどんどん下がっていきました。ところが、周りの予備校の合格率は変わらずどこも90%以上なのです。「おかしいな」と思いました。私の予備校では、(私の信条として)どうしても嘘は書きたくありませんでしたので、結果、合格率を出すのをやめるしかないと結論付けました。すると、親御さん方は、電話で「お宅の合格率は?」と必ず聞いてくるのです。

 

これは営業面では痛手です。しかし、嘘は嫌ですし、本当のことを書いたらますます印象が悪いから仕方がありませんでした。でも、予備校の合格率にそんな違いがあるなんてあり得ないことですし、あんなにすべての予備校の合格率がいいならば、何であれほどたくさんの医学部浪人生がいるのかと悩みました。そのうちに、ここで説明したようなマジックが当たり前なのだということを知るようになったのです。

 

結論を言えば、どの予備校であれ、平均的な合格率は2割5分からせいぜい3割です。それでも独学に比べれば合格率は上がります。それだけ昔に比べても試験問題は難しくなっています。それを短期間で攻略できるまでになるには、確かに予備校のテクニックも必要なのです。ただ、そのテクニックと本当の勉強を教えてくれる優秀な講師は、極めて少ないということだけは確かです。

 

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医学部受験の闇とカネ

医学部受験の闇とカネ

長澤 潔志

幻冬舎メディアコンサルティング

講師歴30年の医学部専門予備校代表の長澤潔志氏が、実体験をもとに、合格率を偽って、「授業料を挙げる予備校」、「コネとカネがなければ合格できない推薦枠を設ける大学」、「指導力不足で受験生を浪人に導く高校」など、さま…

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