日本企業が「終身雇用制から手を引けない」驚くほど地味な理由

かつて日本の経済発展を支えた「終身雇用制」ですが、近い将来には跡形もなく崩壊するといわれています。その理由として、グローバリズムやIT化の進展、Withコロナ時代の到来等、大きな社会変革が挙げられています。しかし、高度経済成長期においても、産業構造の転換や金融危機など、複数の「変革」を乗り越えてきているのも事実です。日本企業における「終身雇用制」がどのように変容するのか、経済評論家・塚崎公義氏が考察します。

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日本人は「リスクを取る」ことが大嫌い

日本人は、リスクを嫌う民族だといわれています。欧米諸国とくらべ、金融資産に占める株等のウェイトが大幅に低くなっていることから見ても納得ですね。

 

筆者はくわしくありませんが、遺伝子の研究によると、日本人には「慎重な遺伝子」を持つ人が多いのだそうです。おそらく、災害の多い日本列島で生き残ってきたのが慎重な個体だった…ということではと想像しています。

 

リスクを嫌うということは、雇用の安定を好むことです。日本人労働者にとって終身雇用は、雇用の安定を保障するとてもありがたい制度なのです。またそれは、経営者にとっても都合のよい制度だといえるでしょう。

 

「雇用は保障します。その代わり、生涯所得はそれほど高くありませんが、ガマンして下さいね」といえば労働者が喜ぶのですから、これはWin-Winの関係ですね。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

外資系企業のほうが給料ははるかに高いのに、転職する人が少ないのは、外資系企業のシビアな企業文化を敬遠する向きもあるのでしょうが、やはり、雇用が安定していないところが嫌われているのだろう、と思われます。

国内外で比較する、「窓際」というポストへの評価

諸外国で終身雇用制があまり採用されていない一因として、諸外国ではうまく機能しない、ということもあるかもしれません。終身雇用制を採用すると、従業員が「働かなくても解雇されないなら、サボろう」「働かなくても給料がもらえる〈窓際〉というポストは最高だ、目指そう」などと考えるかもしれないからです。

 

日本には「恥の文化」があるので、従業員は「みんなから後ろ指を指されないように、まじめに仕事をしよう」「窓際に追いやられないよう、しっかり成果を出そう」などと考えます。そのため、終身雇用制を採用してもサボる従業員はそこまで多くない、というわけですね。

 

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経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

連載経済評論家・塚崎公義の「身近なテーマで経済センスを磨く」実践講座

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