エリートしか入れない医学部で腐敗が止まらない「当然のワケ」

女性差別、不正入試、医療事故…。入学希望者が殺到する一方で、不祥事が続出している医学部。責任重大な学問が行われる場所でありながら、なぜ腐敗が止まらないのか。世間一般の常識とは異なる医学部の実態を明かす。※本連載は、上昌広氏の著書『ヤバい医学部』(日本評論社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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多発する性犯罪…露顕しているのは「氷山の一角」

女性差別・不正入試は大学医学部の腐敗を象徴しています。露顕したのは、氷山の一角でしょう。東京医科大学の調査報告書では、入試問題漏洩、OBの国会議員による口利き、寄付金が合否に影響した可能性を指摘しています。

 

もちろん、東京医科大学だけが酷いわけではありませんし、経営陣だけに問題があるわけではありません。組織が緩むときは、上から下まで緩みます。

 

腐敗の最たる例が性犯罪の多発です。古くは1999年7月、慶應義塾大学医学部の学生5人が20歳の女子大生を集団でレイプしました。主犯の男は23歳でしたが、実名は報じられませんでした。被害女性との間に示談が成立し、最終的に不起訴処分となりました。この学生は慶應義塾大学を退学したものの、他の国立大学医学部に再入学し、現在は医師として働いています。

 

東京慈恵会医科大学では、2009年1月には36歳の内科医がビタミン剤と偽り、妊娠した交際中の看護師に子宮収縮剤を飲ませ、さらに「水分と栄養を補給するため」と称し、陣痛促進剤を点滴しました。

 

この件は妊娠した看護師の知るところとなり、この医師は不同意堕胎罪で逮捕され、懲役3年執行猶予5年の判決を受けました。さらに厚労省から医師免許を取り消されました。

 

2016年9月には、東京慈恵会医科大学の31歳の医師ら3人が泥酔した10代の少女を集団で準強姦した容疑で逮捕されました。さいたま地裁は、酩酊なのに被告が犯人と特定するのは不可能という理由で無罪判決を下したが、暴行の事実は隠せません。

 

私大医学部の御三家で残るは日本医科大学です。同大で強姦事件はありませんが、恋愛での刃傷沙汰が起こっています。2017年5月、同大学の4年生が東京医科歯科大学附属病院に乗り込み、勤務中の41歳の歯科医に隠し持っていた刃渡り21センチの牛刀などで切りつけました。幸い、歯科医は一命を取り留めましたが、全治3週間の重傷を負いました。学生は駆けつけた警官に逮捕され、その後の捜査で交際中の女性をめぐるトラブルが原因と判明しています。

 

このようなケースは氷山の一角でしょう。事件化しなかった多くのケースがあると考えるのが普通です。

当然「まともな医療」ができるわけもなく…

こんな状況で、まともな医療ができるわけがありません。医療事故が多発します。なかには「犯罪」と言われて仕方ないものまであります。

 

たとえば、2012年には慶應義塾大学の呼吸器外科教授だった野守裕明氏(当時)が、自らが主導する臨床研究のため、26人の肺がん患者の手術中に無許可で骨髄液を採取していたことが明らかとなりました。

 

傷害罪で刑事罰を受けてもおかしくないケースですが、慶應義塾大学は野守教授と専任講師を停職1ヵ月にしただけで、厚労省も刑事告発しませんでした。

 

その後も事態は改善されないようです。総合情報誌『選択』は2016年7月号で「実録『慶應病院オペ室』――封印される手術ミス『続発』の戦慄」という記事を掲載しています。この記事の内容は、知人の慶應義塾大学の外科医から、私が聞いている話とも矛盾しません。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

もちろん、このような状況は慶應義塾大学だけに限った話ではありません。東京慈恵会医科大学では2002年には有名な東京慈恵会医科大学青戸病院事件が起こっています(※)

 

この事件では経験の乏しい泌尿器科の医師が、高度先進医療であった腹腔鏡下前立腺摘出術を行ったところ、静脈を損傷し、患者を死に至らしめました。術者と第一、第二助手は業務上過失致死で起訴され、最終的に執行猶予つきの禁固刑が確定しています。

 

東京慈恵会医科大学の医療事故は、これだけではありません。2017年1月には消化器・肝臓内科を受診した72歳の男性がCT検査を受けたところ、肺がんの疑いを指摘されたのに、主治医が検査の報告書を読まず、約1年間、放置していたことが明らかとなりました。患者は適切な治療受けることなく、死亡しています。

 

名門順天堂大学も例外ではありません。2017年4月には新生児の取り違えがあったことが判明していますし、同年9月には無痛分娩の事故で提訴されています。

 

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内科医
医療ガバナンス研究所理事長 

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。虎の門病院、国立がんセンター中央病院で臨床研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究する。著書に『ヤバい医学部 なぜ最強学部であり続けるのか』(日本評論社)、『病院は東京から破綻する』(朝日新聞出版)など。

著者紹介

連載東大医学部卒の内科医が語る「医学部」の実態

ヤバい医学部 なぜ最強学部であり続けるのか

ヤバい医学部 なぜ最強学部であり続けるのか

上 昌広

日本評論社

医学部受験生、現役医学生、保護者必読! しがらみにとらわれず、国をも超えて医療活動ができる最強の資格(職業)、「医師」。 医学部の人気はとどまるところを知らず、入試の難度はますます高くなっている。 しかし…

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