地盤沈下大国である日本。なぜ日本で地盤沈下がこれほど多く発生するのかやそのリスクなどについて、歴史や自然環境などさまざまな面から分析した結果を、アップコン株式会社代表取締役松藤展和氏が解説します。

すぐ後ろに田んぼが迫る、ロードサイド店の床は危ない

先ほども申し上げたように、日本の国土は起伏だらけ。もともと平地だった場所は農地や湿地帯などだった場合が多いのですから、言ってみれば、「どこもかしこも不同沈下の候補地」のようなものです。それでも、地域によって危険性には「高い・低い」の差があります。

 

筆者の会社、アップコンは日本全国で沈下修正の仕事をしています。当然、相談や仕事の依頼が多い地域は、実際に沈下が発生しているのですから、そうした危険性の高い地域といえます。しかし、そうでなくても、土地の様子をざっと見ただけで「このあたりは危なそうだな」「ここは大丈夫そうだ」ということがわかります。

 

仕事柄、私も日常的に全国あちこちを回っていますが、車で移動中など、外の風景をなるべく注意深く見るようにしています。 

 

たとえば、これなどはわかりやすい例ですが、地方都市近郊の広いバイパス沿いに大きなロードサイド店などが並んでいて、さらにその周辺には昔ながらの田んぼが広がっているとします。このような場合、道路や店舗の並んでいる土地も、もともと田んぼであったところを買い上げて道路を通した可能性が高く、沈下に関しては要注意です。

 

道路自体の様子にも注意して見る必要があります。道路が開通した直後なら路面はきれいで当たり前ですが、沈下が起きやすい場所では、しばらくするうちに路面が波打ったり、窪みができたり、ひび割れが発生してしまったりします。

 

もちろんそのままでは車の走行にも影響が出ますし、雨が降るたびに水が溜まったりもしますから、補修工事が行われます。また、路面の下に埋まっている水道管やガス管などもずれてしまい、そのための工事が必要になる場合もあります。したがって、仮にでこぼこは直されていても、今度は道路の見た目がつぎはぎになっていたりします。

 

これはかなりわかりやすい指標です。もちろん、道路工事が行われる理由にはさまざまなものがありますから、工事の跡が多いからといって地盤が弱いと決めつけるわけにはいきませんが、逆に舗装がそれなりに古びているにもかかわらず、でこぼこも補修の跡も少なければ、なかなか丈夫な地盤の上につくられた道路だろうと考えることはできます。

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改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9 割

改訂版 不良品が多い工場の原因は地盤が9 割

松藤 展和

幻冬舎メディアコンサルティング

4年前出版し関係者の間で話題沸騰したあの書籍が、「傾いた床」による様々なリスクを追加収録し、 【改訂版】としてパワーアップして帰ってきた! たった0.6度の床の傾きで、業務も傾く! 日本の建物の9割が地盤に起因…

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