SPAC(スパック)は、日本語で「特別買収目的会社」といい、未上場企業を買収することを目的として設立された米国に上場している会社です。最近では、ソフトバンクGが出資してる「グラブ」がSPACと合併したことで話題になりました。しかし、SPACは事業の実態がないことから「空箱」上場と揶揄されることもあります。そこで本記事では、キャピタル アセットマネジメント株式会社が、SPACの正しい知識について解説します。

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投資家から見た「SPACのメリット」

SPACの発行価格の下限は、USD10.0と決められています。24ヵ月間のうちに買収ができないと、SPACは解散することになっています。その際には、信託で保全されている資金から「USD10+金利-リーガル・フィーと雑費」を引いた金額(経費)が投資家に償還されます。

 

投資家は、2年間の機会コストと少額の経費を負担することにはなりますが、それ以上の負担はありません。

 

首尾よくSPACが買収に成功し、新しい会社として登録されると、SPACの株主は新会社の株主となります。通常、SPAC自体の何倍もの時価総額を有する会社を買収するので、不足の部分を負債ないし増資によって賄います。いくらかの希釈化があるかもしれませんが、投下した資金の何倍もの株主価値となります。

 

たとえば、最近よく話題となっているのが、シンガポールの「グラブ」という会社です。エアビーアンドビーに似た業態ですが、グラブは東南アジアが活動の場で、IPOの時価総額はUSD34bil以上ということです。

 

グラブは日本のソフトバンクGが株主で、SPACとの合併を経てIPOをする会社としては史上最大です。T.R.Price,Black Rock等の著名運用会社がつなぎのファイナンスに参加し、シンガポール政府傘下のタマセック(投資会社)も支援しています。

 

これを機に、米国に上場しているSPACを使ったアジアのTech企業の上場が増えることが予測され、インドではすでに14社が手を挙げつつあるそうです。玉石混交ではありますが、アジアの技術が米国の仕組みのなかで大型の資金調達を行っていくトレンドが継続する可能性が大でしょう。

 

米国国内のみならず、世界、特にアジア地域では有望な非上場銘柄が多く存在しています。自国での株式発行が進まない場合、法律や会計の経営資源が豊富な米国のSPACの仕組みを借りれば、世界中の投資家を対象に、大型でかつ早い資金調達が可能になります。そうすれば、イノベーションが加速し、企業業績、株主へのリターンも拡大する可能性があります。

投資家から見た「SPACのデメリット(リスク)」

日経新聞があれこれと書くまでもなく、米国のSEC(米国証券取引委員会)も投資家保護のために、度々警告めいた通知をHP上に載せています。自分自身で「発行目論見書(Prospectus)」に目を通すことや、スポンサーの経歴など知り得る公開情報を収集して、理解してから投資することを勧めています。要は、怪しそうなものには手を出すな、ということです。

 

SPACで考えられるリスクは、買収対象を探すことができずに償還されてしまうリスクです。実際、2009年から最近まで約1割が償還されています。

 

その他のデメリットは、ケースバイケースです。たとえば、買収する予定の会社が粉飾ないし虚偽の開示をしていたために、その企業と合併したあとで、それがわかり株価が暴落するなどの場合です。

 

証券詐欺あるいは刑法に触れるところまでではないにしろ、色々なリスクの開示不足と、それらが顕在化したときの株価へのインパクトは大きいものがあります。

 

♦まとめ

 

色々な話題を提供してくれるSPACですが、まともにポテンシャルのある企業を探索して上場させようと汗をかいている人々が大半です。米国の分厚い投資家層によって築かれつつある収益チャンスを、是非ものにしたいと思いませんか?

 

 

キャピタル アセットマネジメント株式会社

 

 

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