「毎年確定申告するのが面倒くさい」「節税したいけど、どうしたらいいか分からない」……、毎年1月頃になるとこのような声をよく聞く。日本の税制は、納税者自ら確定申告をする「申告納税制度」で、申告内容の一部は納税者の選択に委ねられているのだ。申告相談に携わった元国税専門官が、節税にはどっちが得なのか、プロの税金術を公開する。本連載は小林義崇著『元国税専門官が教える! 確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?』(河出書房新社) より一部を抜粋し、再編集したものです。

領収書よりも、レシートを勧める理由

ここまでの前提をふまえて、レシートと領収書をくらべてみましょう。すると、レシートのほうが、情報量が多いことがわかるはずです。

 

昔は、レシートでも商品名がわからないものがありましたが、いまはかなりの情報がレシートに記載されています。支払った日はもちろんのこと、その商品名や、支払金額、お釣り、ポイントの有無など、取引に関する情報はほぼ網羅されています。

 

それに対し、手書きの領収書にはそこまで細かな情報は書かれていません。とくに宛名が「上様」、品目が「商品代」などと書かれた領収書は、実質的な情報は皆無です。

 

しかも、税務職員の立場になって考えると、レシートよりも領収書のほうが疑わしいと感じられます。なぜなら、手書きの領収書は簡単に改ざんすることができるからです。

 

たとえば、プライベートな支払いと、事業用の支払いを一緒くたにして領収書をつくってもらえば、内訳はわかりにくくなります。金額そのものも、手書きなら書き換えることは可能です。

 

一方、先ほどお話ししたとおり、いまのレシートには相当な情報が詰まっていますから、そっくり偽造することはほとんど不可能です。

 

こういった意味から、私は領収書よりも、レシートを必要経費の証拠書類として保管しておくことをおすすめします。

 

本記事は「確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち?」(河出書房新社)の一部を抜粋し、2020年12月現在の法令等に合わせ加筆したものです。法改正などにより、内容が変更となる可能性があります。

 

小林 義崇
フリーライター 元国税専門官

 

 

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確定申告〈所得・必要経費・控除〉得なのはどっち? 元国税専門官が教える!

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小林 義崇

河出書房新社

クイズ形式で出題。ベスト・チョイスはどっちか? 青色申告or白色申告。開業届を出すor出さない。家族を雇うorパートを雇う。iDeCo or小規模企業共済。郵送で申告or e‐Tax。国税専門官として数多くの申告相談に携わった著者…

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