名古屋:空室率は上昇傾向で、一部解約の動きも増加
◆新型コロナウイルスの影響
2020年9月期の名古屋オールグレードの空室率は、対前期(同年6月期)比0.4ポイント上昇し、1.8%となった。
今期の上昇の主な要因は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による、企業業績の急激な悪化に起因するものと考えられる。5月に緊急事態宣言が解除され、経済活動が徐々に再開したものの、7月から8月にかけて、第2波が全国に広がったことに伴い、企業活動も大きく影響を受けた。
オフィス移転や新規開設計画についても、遅延・中止となるケースが見られたほか、名古屋中心部でも、在京・在阪本社企業を中心に、勤務者がオフィス以外の場所(たとえば、在宅でリモートワーク、サードプレイスオフィス等)で働くようになり、現入居オフィスにほとんど人がいない状態となった。
今回のコロナ危機を機に、オフィス戦略見直しの判断を下した企業からは、不要となった会議室等の減床目的による、一部解約の動きが多く見られた。また、前期に供給された新築オフィスビルの空室が消化しきれておらず、大規模リニューアル後、再募集となった賃貸オフィスビルについても、空室消化が進んでいないことなどから、空室率が上昇している。
◆来期以降も空室が顕在化
次に、ビルのグレード別に見ると、グレードAの空室率は、対前期比0.2ポイント低下し、1.0%となった。空室率低下の要因は、政府の緊急経済対策に伴う、行政関連の短期オフィス需要が発生したことによるものである。グレードBの空室率は、同0.5ポイント上昇し、1.4%となった。
エリア別に見ると、「名駅」エリアでは、同0.1ポイント上昇の2.1%となり、「伏見・丸の内」エリアでは、同0.8ポイント上昇し1.9%となった。また、「栄」エリアでは、同0.5ポイント上昇の1.1%となり、「名古屋東」エリアでは、同0.2ポイント低下の1.6%となった。
来期以降のオフィス市況についても、今期と同様、コスト削減により、一部解約された空室の顕在化が予想される。アフターコロナの新しいオフィスのあり方について、企業の検討の本格化が遅れた場合には、空室率が上昇する可能性が懸念される。
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