
Appleのスティーブ・ジョブズが、文字のアートであるカリグラフィーをプロダクトに活かしていたことは有名だ。マーク・ザッカーバーグがCEOをつとめるFacebook本社オフィスはウォールアートで埋め尽くされている。こうしたシリコンバレーのイノベーターたちがアートをたしなんでいたことから、アートとビジネスの関係性はますます注目されているが、実際、アートとビジネスは、深いところで響き合っているという。ビジネスマンは現代アートとどう向き合っていけばいいのかを明らかにする。本連載は練馬区美術館の館長・秋元雄史著『アート思考』(プレジデント社)の一部を抜粋し、編集したものです。
ビジネスに不可欠な「世界のルールで戦う」
杉本は、ニューヨークで現代アートを始めたこともあり、世界のアートのスタンダードは欧米にこそあるということを痛いほど肌で感じてきた人です。非欧米のアートは、周縁であることを知り、欧米のコンテクストに組み込まれることでしか認められることはないと冷静に分析していました。その考えに沿い、杉本は、戦略的に写真の分野でまず世界的に知られてから、建築、庭園などの総合的な表現へと向かっていったのです。
写真という表現によって、世界的なアートの文脈の中でポジションを築いた上で、自分の本当にやりたいことを実行していったのです。
杉本の一見折衷的な表現には、賛否もありますが、「世界のルールで戦う」ことは、一貫しています。アートにおける「文脈を大切にする」ということは、ビジネスの世界でも大切なはずです。世界の流れを読み、自分の特徴を知る。もしかすると、そこにイノベーションを起こすためのヒントが隠されているかもしれません。
秋元 雄史
東京藝術大学大学美術館長・教授
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