
資産形成を目的とした長期投資に関心を持つ方が増えています。株価判断の重要な指標としてよく知られているものに「PER(株価収益率)」と「PBR(株価純資産倍率)」がありますが、投資初心者の場合、「PBRが1倍以下」になっている銘柄を探す、という方法もお勧めです。経済評論家・塚崎公義氏がその理由とともに、PBRの概要と数字の読み方を併せて解説します。
長期投資の際に有益となる「割安・割高」の判断
株式投資をするならば、割安のときに買って割高の時に売りたい…そう考えるのは自然なことです。そこで本記事は、株価の割安割高を判断する指標のひとつである「PBR」について解説していきましょう。
もっとも、「割安だから買う」「割高だから売る」といった判断は、主に長期投資の際に有益なものです。短期投資に際しては、割安割高を重視するのは危険かもしれませんので、要注意です。株価は時としてオーバーシュートしますから、株価が値下がりして割安になったとしても、その勢いが続いてさらに値下がりをするという場合も多いからです。
割安割高の判断によく使う「PER」と「PBR」
株価の割安割高を判断する際に最もよく用いられるのはPERですが、PBRもそれと並んでよく用いられます。PERについては『未曾有の大不況に注意…「PERが計算できなくってしまう」ワケ』(https://gentosha-go.com/articles/-/31619)をご参照いただくとして、今回はPBRについて記しましょう。
PBRは「Price Book-value Ratio」の略で、日本語では「株価純資産倍率」です。これは、株価がBPS(Book-value Per Share:1株当たり純資産)の何倍であるかを計算した結果です。
会計の原則からすれば、会社が解散するときにはBPSが株主に払い戻されるわけですから、PBRは1倍が正しいということになりそうです。
その考え方で大筋は正しいのですが、企業にはノウハウや顧客リスト等々のバランスシートに計上されない無形資産があり、それが利益を生むことが期待されるので、PBRは1倍を少し上回るのが普通です。
PBRはPERと異なり、大不況のときには低下するのが普通です。BPSは過去からの長い蓄積なので、短期的な不況ではそれほど減りませんが、株価は下落するからです。その点については、PERよりもPBRの方が取り扱いは容易であるといえそうです。
したがって、過去の自社のPBRと比較して割安割高を判断するのであれば、それほど難しいことを考える必要はありません。
