夫が実の両親より先に亡くなった場合、「遺された妻」が相続トラブルに巻き込まれることがあります。義理の家族と不仲だと、ありえない事態に陥ることも…。

一次相続の段階での対策がやはり重要に

このようなケースでは、一次相続の段階で、区分所有にしたことがまずかったと思います。その時点では長男もまさか自分が親より先に死ぬことになるとは思っていなかったでしょうから仕方のない面もあるのですが、せめて自分がガンであるとわかった時に、何らかの対策をしておくべきでした。

 

例えば、自宅と賃貸マンションをまとめて売却し、その金銭で、母と長女は自分たちが住む自宅を別に購入、長男は別の賃貸マンションなどを購入するといったようにです。そうすれば両者がスッパリと住み分けができ、仲のよくない者同士の心理的な距離も保てたのではないでしょうか。

 

さらに、二次相続にあたっては、孫たちを母の養子に入れてもらうという手もありました。養子になれば、代襲相続人ではなく通常の相続人になりますから、相続権をもっと強く主張できたはずです。折り合いのよくない嫁が「孫を養子に」と頼んでもおそらく承諾はしてもらえなかったでしょうが、かわいい長男の最後の願いとなれば、憎からず思っている孫でもあり母もこころよく受け入れてくれたのではないかと想像します。

 

とはいっても、長男はすでに他界しており、今からこれらの対策をすることはできません。今できることは、賃貸マンション部分の権利を守り抜くことです。長女との関係や建物のメンテナンスなどで所有しておくことがわずらわしければ、売却してしまってもかまいません。長女が「よこせ」と言うなら、正当な価格を提示して買い取ってもらえばいいのです。

 

いずれにしても、長男の妻は次こそは長女の勢いに負けて簡単にハンコを押さないことが大事です。子らを守る母として、その点は腹をくくってもらわなければなりません。

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ワケあり不動産の相続対策

ワケあり不動産の相続対策

倉持 公一郎

幻冬舎メディアコンサルティング

ワケあり不動産を持っていると相続は必ずこじれる。 相続はその人が築いてきた財産を引き継ぐ手続きであり、その人の一生を精算する機会でもあります。 にもかかわらず、相続人同士が財産を奪い合うといったこじれた相続は後…

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