日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「詐欺事件発生率」。新型コロナ関連の詐欺事件が話題になることが多くなっている昨今、発生状況を見ていきましょう。

「詐欺事件の発生率」が最も高い都道府県は?

警察庁の『特殊詐欺の認知・検挙状況等について』によると、2020年、特殊詐欺の認知件数は、1万3526件。そのうち7373件を検挙。実質的な被害総額は277億8160万7633円にもなります(図表1、2)。

 

出所:警察庁『特殊詐欺の認知・検挙状況等について』より作成
[図表1]2020年「特殊詐欺事件」認知件数と検挙件数の推移 出所:警察庁『特殊詐欺の認知・検挙状況等について』より作成
出所:警察庁『特殊詐欺の認知・検挙状況等について』より作成
[図表2]2020年「特殊詐欺事件」実質被害総額の推移 出所:警察庁『特殊詐欺の認知・検挙状況等について』より作成

 

 

さらに2020年の特殊詐欺事件について、時系列で見ていきましょう。認知件数の月平均は1127件、検挙件数の月平均は614件。そのなかで認知、検挙ともに最も多かったのが2月で、認知件数は1101件、検挙件数は385件でした。

 

認知件数はその後、1000~1100件台で推移するも、年末の12月は増加しました。ちょうどワクチン接種の現実味が帯びたころ。前出の接種を口実とした詐欺事件が増えた結果だと考えられます。

 

また実質的な被害総額をみていくと、認知件数等と同じように2月にひとつのピークがありますが、12月に急激に増加。認知件数以上に被害が拡大しています。

 

さらにコロナ禍前になりますが、警視庁「令和元年警察白書」から詐欺事件の地域性を見ていきます。全国の刑法犯(凶悪犯、粗暴犯、窃盗犯、知能犯、風俗犯、その他の刑法犯)の認知件数は、81万7338件。人口1000人あたり6.47件の犯罪が起きています。

 

そのうち人口1000人あたりの刑法犯罪認知件数が最も高いのが「東京都」40.03件。「静岡県」「茨城件」「大阪府」「埼玉県」と続きます(図表3)

 

出所:警察庁「令和元年警察白書」より作成
[図表3]都道府県「詐欺事件含む、知能犯罪発生率」上位10 出所:警察庁「令和元年警察白書」より作成

 

一方、特殊詐欺を含む知能犯の人口1000人あたりの認知件数は、全国平均0.338件。そのうち最も多いのが、ダントツで「東京都」で3.057件。全国平均の実に9倍という水準です。続いて「静岡県」で人口1000人あたり1.336件。「大阪府」「長野県」「兵庫県」と続きます。

 

一方で人口1000人あたりの認知件数が少ないのが「福井県」で、0.057件。「群馬県」「石川県」「大分県」「鹿児島県」と続きます。

 

圧倒的に「東京都」での発生が多い特殊詐欺事件ですが、被害者の多くは「まさか自分が……」という人ばかり。特に高齢者がターゲットになりやすいといわれていますが、巧妙な手口によって、そのほかの層でも被害にあるケースもあります。自分はもちろん、家族など、身の回りの人が被害に合わないよう、警戒するにこしたことはありません。

 

 

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