本連載では、25年前から幼児教育に取り組んでいる株式会社コペル・代表取締役の大坪信之氏が、発達障害の子どもの苦手分野を克服する方法について解説します。

楽しんでいるうちに自然と身につけるのが学習の近道

子どもが好きなものは、私たちの身近にたくさんあります。たとえば、小さな子どもはマジックテープをビリビリとはがしたり貼ったりするのも好きですし、磁石をパチンとつけるのも好きです。そういった身近なものを使った遊びを工夫し、楽しんでいるうちに自然と身につけるのが、学習の近道です。

 

幼児期に、子どもの目が輝くような機会を多く持つことができれば、気づいたときには膨大な量の情報がインプットされています。このように情報をインプットしていくやり方は「パターン学習」とよばれます。パターン学習では、量が質を高めます。量と質の関係は、正三角形の底辺と高さのようなイメージです。底辺が長くなれば高さも高くなり、結果として面積が増えるのによく似ています。

 

このように、量が質へと転換していくのは、幼児教育の特質ともいえます。

効率が悪く見えても、「インプット」は効果的!

手当たり次第に膨大な情報をインプットするというパターン学習は、一見効率の悪いやり方のように思えるかもしれません。しかし、幼児教育ではこれが一番の早道なのです。赤ちゃんが、勉強したわけでもないのに自然と母国語を話せるようになるのが典型的な例です。このとき、必要となるインプットの量には、個人差があります。人間には器用・不器用があるからです。

 

ただ、必ずしも、不器用であることが悪いとは限りません。

 

人間が物事を習得するまでには一万時間が必要だといわれますが、苦もなくある一定のレベルまで到達してしまうと、一万時間を費やすことなく、ほどほどのところで終わってしまうことが多いのではないでしょうか。

 

日本の伝統芸能に「謡(うたい)」というものがあります。謡とは能楽の言葉や台詞にあたる部分のことで、それのみを謡う芸能ですが、その謡の先生の言葉が印象的でした。

 

「一流になるには素質が必要である。この素質というのは『声が悪いこと』と『音程が悪いこと』だ」というのです。

 

生まれつき声がよくて音程もよい人は、9割のところまで比較的はやく到達します。ただ、そこからは上達せず、「ほぼ9割の人」で終わることが多いのだそうです。

 

それにひきかえ、声が悪かったり音程が悪かったりする人は、なかなか9割のところまで達しません。最初はまず1割、そして2割と徐々にステップアップしていき、時間がかかったとしても、歩みを止めることなく上達していきます。そして、9割に到達したと思うと、さらに10割を超えて、その人独自の境地へ進んでいけるのだといいます。

 

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※当記事は、2018年12月4日刊行の書籍『「発達障害」という個性 AI時代に輝く――突出した才能をもつ子どもたち』から抜粋したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「発達障害」という個性 AI時代に輝く──突出した才能をもつ子どもたち

「発達障害」という個性 AI時代に輝く──突出した才能をもつ子どもたち

大坪 信之

幻冬舎メディアコンサルティング

近年増加している「発達障害」の子どもたち。 2007年から2017年の10年の間に、7.87倍にまで増加しています。 メディアによって身近な言葉になりつつも、まだ深く理解を得られたとは言い難く、彼らを取り巻く環境も改善した…

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