「見る力=視覚」は10歳までの過ごし方で決まる
私たちが外界から得る情報には視覚だけではなく、嗅覚、聴覚、触覚、味覚があります。どれも大事な機能ですが、なかでも視覚から得る情報は80%にも及ぶといわれています。見ることによって色や形、大きさ、明るい・暗い、人の表情や動きなどを認識し、「美しい」「おいしい」「楽しそう」などと感じています。ですから目は子どもにとって、心身の成長において重要な情報を得る窓口となっています。
実は、人間の目は生まれたときから、はっきりと見えているわけではありません。大人と比べて眼球の大きさに違いはあっても構造的にはほぼ完成していますが、機能的には未熟な状態です。
生後まもない赤ちゃんの視力は0.01ぐらいで、明るいか暗いかが分かる程度です。それが生後2~3カ月になると、オモチャをじっと見つめたり、動く物を目で追うようになったり、お母さんやお父さんの笑顔に応えて笑うようになったりなど、両目で立体的にとらえる機能が急速に発達します。
もちろん個人差があるので一概にはいえませんが、だいたい1年後には視力が0.2前後に育ち、2歳までに0.3以上、3歳半を過ぎると0.7以上、4~5歳で1.0以上となって視力は完成します。その後、10歳くらいまでには視覚が成熟して成人と同じレベルに達します。
視力だけなら小学校に上がる頃には日常生活で不自由しないレベルになりますが、視覚機能は成長に伴ってたくさんの物を見て生活の経験を積むことで発達します。ですから10歳ぐらいまでに、いろいろな物を見て学習することが、目の健全な発育には大事なのです。
そのため、視力が発達する大切な時期に、目の病気など何らかの原因で正常な発達が妨げられると、視力は上がらなくなり、弱視になるリスクが高くなります。また、4~5歳以降の視力が完成したあとに、パソコンやスマートフォン、小型ゲーム機といった近い距離ばかりを見ている環境にいると、視力を低下させることとなります。
特に0~3歳くらいまでは目の感受性が高く、視覚刺激によって「見る力」が急成長する時期です。ですから「視線が合わない」「目つきがおかしい」など子どもの異変に気づいたら、早期に眼科を受診することが大切です。
星合繁
ほしあい眼科院長
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