自分の資産である土地の価格を正確に知ることは専門家でも難しいことです。土地の価格を正確に知らないことで損をする前に、どんなことが土地の値段の下落につながるかを紹介します。

同じ不動産でも持つ人で値段が変わる?

一般に、「配偶者と子ども二人で法定相続人三人の場合、改正前は相続財産額が8000万円以上ないと基礎控除額を上回ることはなく相続税が課税されない」といわれていましたが、改正後は同じ条件でも「相続財産額が4800万円以上で相続税が発生する」ことになりました。

 

ここに挙げた数字は間違いや嘘ではありません。

 

ところが、この計算をした基準そのものに、ちょっとしたカラクリがあるのです。それは不動産の相続税の課税評価額を算出する際の基準となる「路線価」です。

 

相続税法の条文では、課税評価額の計算は「当該財産の取得の時における時価」で計算するとしているだけで、何がその時価にあたるのかについては明示されていません。相続税の財産評価基本通達では、時価について次のように明示されています。

 

路線価が付されている地域→路線価方式で評価

それ以外の地域→倍率方式で評価

 

路線価は、土地が接する道路について1平方メートル当たりの価値(1000円単位)が付されています。路線価が付いている地域の場合、単純に、この路線価に土地の面積を掛けた金額が、その土地の相続税評価額になるということです。

 

一方、路線価が付されていない地域の場合には、その土地がある地域について「倍率」が定められており、単純に、固定資産税評価額にその倍率を掛けたものが相続税評価額になります。

 

穿った見方をすれば、「土地の評価方法は、その土地の場所により異なる」ということもできます。前述したように、土地の時価にはいろいろな基準があり、一般に知られている方法と実際に評価する金額は異なるのです。このことをよく知る資産家は、相続税評価額の算出の際に、不動産鑑定士による鑑定評価書を示し、「この土地は×の理由で、評価額を×万円で計算した」といった内容を明確にして相続税を納付します。すなわち、このことをよく知っている資産家とそうではない人とでは、仮に同じ不動産を持ち、相続税を計算したとしてもまったく異なる金額になるのです。これが税金までムダに払ってしまうことにつながるわけです。

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本記事は2017年6月刊行の書籍『改訂版塩漬けになった不動産を優良資産に変える方法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の税制や税務調査とは異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

塩漬けになった不動産を 優良資産に変える方法

塩漬けになった不動産を 優良資産に変える方法

相馬 耕三

幻冬舎メディアコンサルティング

バブル崩壊以降、買ったはいいものの収益を生んでいない賃貸物件や、地価の暴落でほったらかしになっている土地を抱える不動産オーナーは多くいます。ソニー生命の不動産整備などを実現してきた経験豊富な不動産コンサルタント…

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