日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、大学進学のための「奨学金」に焦点をあてていきます。

大学卒業…奨学金返済もままならぬ現実

厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)」によると、大学卒平均が21万200円。 分布をみていくと、最も多いのが20万円台で29.4%、続いて21万円台で24.1%、22万円台が11.1%となっています(関連記事:『都道府県「初任給」ランキング…1位と47位で年54万円の格差』)。

 

企業規模別にみていくと、大企業で21万3100円、中小企業で20万8600円、小企業で20万3900円。 主な産業別にみていくと、獣医業や測量業などの「学術研究、専門・技術サービス業」で22万7200円と最も高く、続いて「鉱業、採石業、砂利採取業」で21万9800円、「情報通信業」21万8100円、「建設業」21万6700円、「不動産業、物品賃貸業」21万3900円と続き、最も低いのが「複合サービス業」で18万4900円となっています(図表1)

 

出所:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)」より作成
[図表1]業種別「初任給」 出所:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)」より作成
 

*信用事業、保険事業、または共済事業と併せて複数の大分類にわたる各種のサービスを提供する事業所。法的に事業の種類や範囲が決められている郵便局や農業協同組合等が分類される

 

また賃金カーブ(男女計)をみていくと、「20~24歳」21万900円の賃金は、「30~34歳」で30万円を突破し、「50~54歳」で37万3500円とピークを迎えます(図表2)

 

出所:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」より作成
[図表2]企業規模別、会社員の賃金カーブ 出所:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」より作成

 

労働者中央福祉協議会の「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」によると、奨学金の借入総額の平均は324.3万。500万円以上の借入がある場合も、12.4%になります。初任給から手取り30万円超などという業界・業種もありますが、それはかなりのレアケース。大学卒業と同時に奨学金の返済がスタートとなると、実家暮らしであればまだしも、単身世帯の場合はかなり苦しいことは想像できます。

 

同調査によると、奨学金返済の平均は14.7年。そして4割が「奨学金の返済は苦しい」と回答。そして3割強が「(奨学金返済が)結婚に影響した」「(奨学金返済が)持ち家取得に影響した」としています。

 

親からの給付では修学は難しい……という事情から手にする奨学金。ただ返済義務を負う子どものことを考えると、借りる際にはもう少し慎重になったほうがいいかもしれません。

 

 

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