老後資産の形成「市場変動リスクしか考えない人」が踏む薄氷
ウィズ・コロナの時代、一層厳しくなる老後を生き抜くには、資産形成による周到な準備が必要です。検討すべき手法に「ライフサイクル投資」がありますが、この実現には「ゴール・セッティング」だけでなく「リスクの定義」を知ることが重要です。これに気づけないと、資産形成は危ういものになりかねません。資産運用会社のアライアンス・バーンスタイン株式会社で運用戦略を行う後藤順一郎氏が解説します。
インデックスファンドより高いリターンを狙う!
「アクティブファンド特集」を見る
「市場変動リスク」を考えるだけでは不十分
次にリスクについて考えてみます。もちろん資産運用をする以上、市場変動リスクは管理対象となりますが、退職後資金の形成が目的となっている今、市場変動リスクだけでは不十分です。
たとえば現役時代に十分な資産を形成できなければ、老後の生活に影響を及ぼします。このリスクを貯蓄不足リスクといい、現役時代にはリタイア時の貯蓄不足リスクをなるべく小さくしなければなりません。
またリタイア後に想定よりも長生きして、生きている途中でお金が底を尽くこともあるかもしれません。これを長生きリスクといい、リタイア後に管理しなければならない重要なリスクです。
さらにインフレ・リスクも管理する必要があります。なぜなら現役時代にはインフレが起きても給与で調整されるため気にする必要はありませんが、給与のないリタイア後はもろにインフレ・リスクにさらされるからです。
このように、ライフサイクル投資では、市場変動リスクに加えて、貯蓄不足リスク、長生きリスク、そしてインフレ・リスクを考えて運用方針を策定する必要があるのです。
資産を「守る」「増やす」「次世代に引き継ぐ」
ために必要な「学び」をご提供 >>カメハメハ倶楽部
アライアンス・バーンスタイン
後藤順一郎
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【3/27開催】遺言はどう書く?どう読む?
弁護士が解説する「遺言」セミナー<実務編>
【3/27開催】いま「日本の不動産」が世界から注目される理由
~海外投資家は何に価値を見出すのか
【3/27開催】「マイクロ法人」超活用術
~法人だからできる節税とは~
【3/28開催】「相続手続き」完全マスター講座
~相続人調査、財産調査、遺産分割協議~
【3/30開催】次世代のオルタナティブ投資
「プライベートクレジット投資」とは
【関連記事】
税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると
アライアンス・バーンスタイン株式会社
運用戦略部マネジング・ディレクター 兼 AB未来総研所長
慶應義塾大学理工学部 非常勤講師
2006年4月に入社。現在、マルチアセット戦略のプロダクト担当。また、DC・NISAビジネスの推進及びAB未来総研にて顧客向けソリューション/リサーチ業務も兼務。
入社以前はみずほ総合研究所株式会社(みずほフィナンシャルグループから出向)に勤務、主として企業年金向けの資産運用/年金制度設計コンサルティングに従事。
共著書に「年金基金の資産運用-最新の手法と課題のガイドブック-」(2004年、東洋経済新報社)、「企業年金の資産運用ハンドブック」(2000年、日本法令)、「The Recent Trend of Hedge Fund Strategies」(2010年、Nova Science Pub Inc, 2010)。
論文に「ヘッジファンドのスタイル分析-ファンドオブヘッジファンズの超過収益獲得能力の推計-」(2007年、日本ファイナンス学会第15回大会)、「これだけは押さえておきたい資産形成のポイント」(2011年、投資信託事情)、「行動ファイナンスから見た“マーケットとの付き合い方”」(2012年、投資信託事情)、「基礎から分かるターゲット・イヤー・ファンド」(2014-2015年、ファンド情報)など。
1997年に慶應義塾大学理工学部管理工学科にて学士号、2006年に一橋大学大学院国際企業戦略研究科にて経営学修士号(MBA)取得。
日本アクチュアリー会準会員、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、1級DCプランナー、慶應義塾大学理工学部非常勤講師
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載人生100年時代を生き抜くための「ライフサイクル投資」実践講座
※本記事は「ニッキン投信情報」に掲載されたコラムを転載・再編集したものです。