「相続時精算課税制度」とは、「生前贈与をするときは2500万円まで贈与税を非課税にしますが、贈与した人が亡くなった時には、その人の遺産だけでなく、過去に生前贈与した財産も一緒に、相続税を課税しますよ」という制度です。今回は、この相続時精算課税制度のメリット・デメリットを、相続を専門とする円満相続税理士法人の桑田悠子税理士がわかりやすく解説していきます。

メリット1:遺産を生前に渡せる

今までに話してきたデメリットの中には、相続税対策としての110万円の非課税が使えなかったり、申告をする際に、特例が使えなかったりと、相続税が発生する人前提でのものが多かったです。

 

そのため、不動産以外の財産で、登録免許税や不動産取得税の影響を受けないものを相続時精算課税制度で贈与し、かつ、贈与税申告を忘れるというミスをしなければ、相続税が発生しない人や、相続税が少額の人については、遺産を生前に渡すことができる非常にいい制度となります。

メリット2:賃貸物件を贈与して賃貸収入を移せる

メリットの2つ目は、「賃貸物件を子どもや孫に贈与することで、贈与した後に賃貸物件から生まれる収入を、子どもや孫に移すことができる」ことです。

 

賃貸物件を保有する人で、借入の返済が完了していたり、借入の返済がなくても利回りを高く運用されている人は、毎年賃貸物件からの収入が、将来の相続財産にプラスされていき、どんどん相続税が上がっていきます。

 

そこで、賃貸収入から現金で子どもや孫に贈与してもいいですが、建物ごと贈与することで、贈与した後にその賃貸物件から入ってくる収入を子どもや孫に移し、相続財産の増加をストップさせることができるのです。

 

様々な賃貸物件の中でも、贈与に最適なのは、「古い賃貸物件」です。そして、土地は贈与せず建物のみを贈与することがポイントです。「古い賃貸物件」だと得をする理由は2つです。

 

(1)登録免許税・不動産取得税が高額にならない

 

1つ目の理由は、今までお話してきた登録免許税等の金額が、高額にならない点です。

 

築年数が経っていると、税率を掛けるベースである固定資産税評価額もかなり低くなっていることが想定されます。ゆえに、いくら税率が高くても税金があまり高くならない可能性が高いのです。

 

また、土地は贈与せず建物のみを贈与することで、高額な土地の税金の影響を受けなくて済みます。

 

(2)賃貸物件から生まれる儲けを子どもに移すことができる

 

2つ目の理由は、賃貸物件から生まれる儲けを、親から子どもへ付け替えることができる点です。

 

賃貸物件から生まれる儲けは、土地ではなく建物に紐づいています。そのため、土地は贈与せず、建物のみを子どもに贈与しても、その儲けの帰属先は子どもに移動します。その結果、毎年の賃料収入で親の将来の相続財産増加することをストップする効果があるのです。

 

これら2つの理由から、古い賃貸物件は、生前贈与したほうがお得なケースがあります。その際には、この相続税精算課税制度を使うことで、贈与時に支払う贈与税を抑えることが可能です。不動産を所有する親の年齢、建物の固定資産税評価額、建物から生まれる利益の金額などを複合的に見て判断する必要があります。

 

なお、古くなくても高収益物件などは、生前贈与をしたほうがお得なこともあります。不動産ごとのシミュレーションが必要です。

 

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