公助とは国が解決していくもの
公助とは
そして「公助」です。「自助」「互助」「共助」だけではどうにもならないことは「公助」、つまりは国が解決していくことになります。
言い換えると、「公助」は最後のセーフティーネットと言えます。貧困や家族内での虐待などは「公助」で解決をしなければならないのかもわかりません。
老人ホームにも、ともするとこのような相談があります。
私が以前老人ホームの施設長をやっていたとき、地域の社会福祉協議会から緊急ショートステイの受け入れ要請がありました。高齢の祖母に対し同居している孫が虐待をしているので、一時的に保護してほしい、というものでした。なんでも、孫が金をせびり、これを拒絶すると殴る蹴るの暴行を加えるのだそうです。
緊急避難としてホームにやって来たときにも、怪我をしたのか、頭に包帯をぐるぐる巻いた状態で来ました。当然、ただちに介護職員、看護職員などの専門職と社会福祉協議会の担当者と協議を行い、即時受け入れになりました。3週間ぐらい、私のホームにいた後、行政が用意した保護施設に入居したと、記憶しています。
そのとき、私が感じた違和感を申し上げておきたいと思います。数日後、長男がホームに面会に来ました。つまり、暴行をしていた孫の父親です。費用の支払いとこれからの生活に関する相談をしに来たのですが、その態度がまるで「他人事」のようでした。
そもそも、この父親と子供、つまり暴行をしていた孫は、事情があり、別々に生活をしていました。したがって、孫の面倒はこの高齢のおばあちゃんが親に代わり見ていたということになります。これだけでも、何かちょっと……。という話です。
挙句の果てには、母親の怪我を気遣うわけでもなく、逆に、素直に金を渡していればよかったものをと言わんばかりでした。私の隣で同席していた看護師の顔付きがみるみる変わり、その表情は怒りに満ち溢れ、今にも目の前の長男に食ってかかりそうだったことを覚えています。
もちろん、この家庭が今まで積み上げてきたプロセスを、私たちは何も知りません。私たちが知っているのは、怪我をしている高齢の母親と金を無心している孫がそこにいるという事実だけです。長男や孫にも、相応の言い分があるのだと思います。ただ、老人ホームに緊急避難場所として機能することができる社会資源の役割があったということはよかったのではないかと思っています。
小嶋 勝利
株式会社ASFON TRUST NETWORK 常務取締役
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