相続発生時、遺言や遺書の有効性についてトラブルが発生するケースが多発しています。知識を身につけ、もしもの時に備えましょう。今回は事例から、親との同居や介護が、遺産分割時に評価されるのか見ていきましょう。

親の入院時、毎日世話をしていたが…

親の介護をした者の寄与分の主張は、上記の4のパターンに該当します。調停では、親の介護をしていた相続人から寄与分の主張がされるということは非常に多いですが、この4のパターンの場合、子の介護によって親が介護費用を免れた等といった財産的な側面が重要です。

 

これがどのような場合かというと、親が重度の要介護状態で常時付き添いが必要な状態であるような場合で、子が介護サービスなどを利用せずに介護したり、もしくは介護サービスの費用を負担した場合になります。

 

ある裁判事例では、約2年間で5回入院し、それ以外でも毎日親の入院時の世話をしたり(毎朝新聞やお菓子等を届け、夕方に洗濯物を持ち帰った)、通院の付き添いをしていた、という人が寄与分を主張したのですが、その程度のことは扶養の範囲ということで「特別の寄与」とは認められませんでした(大阪家庭裁判所堺支部平成18年3月22日審判)。

介護の「寄与分」が認められた場合の金額は?

では、子が親の介護をしていて、それが「特別の寄与」にあたる場合、寄与分の具体的な金額はどの程度認められるのでしょうか。

 

これについては、色々な考え方がありますが、現在最も多く用いられているのは、介護保険の介護報酬基準に基づく1日の報酬額に看護した日数をかけるという方法です。子が介護したことにより、介護サービスに係る報酬に相当する金額について親の財産の維持に寄与したから(出費を避けられたから)、というのがその理由です。

 

ただし、この方法については、介護士の介護と親族が行う介護を比較すると、通常は親族の介護の方がサービスの質が劣るはずですから、介護報酬基準をそのままあてはめることは妥当ではない、という指摘があります。

 

そのため、裁判実務では、介護保険の介護報酬基準に基づく1日の報酬額を0.5〜0.7倍した数字をもとに算定することが多いです。

 

この他、交通事故の裁判で入院等した場合の家族の付添費が一日8000円とされていることから、この8000円を基準として介護した日数を掛けて寄与分を出すという考え方の裁判例もあります(大阪家庭裁判所平成19年2月8日審判)。

 

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