入院中に大腿骨を骨折した姑。手術は成功した一方で、介護の負担が減ることはなかった。息子夫婦の協力によってつかの間の休息をとることができたものの、癇に障るお見舞いや姑の理解できない言動に今後への不安が募っていく。 ※幻冬舎ゴールドライフオンラインの人気エッセイ『嫁姑奮戦記』を連載でお届けします。

あった!と娘の大声。聞いてみれば…

翌日は姑を娘に頼み金属製のゴミ入れを探しに行く。昨日うっかり仏壇にマッチを置き忘れ、それを使ったらしく、ゴミ入れのビニールが溶け、底が焦げていたので放っておけなかったのだ。こうなると、やめていた煙草の復活も時間の問題だ。なにせ隣が煙草屋だから。

 

この日は近所の方が何人か来て、姑の話し相手をしてくださる。入院中といい退院後といい近所の方々の親切は身にしみてありがたい。付き合いが嫌いな姑も、この時ばかりは嬉しかったに違いない。

 

煙草を吸わなくなったせいか、いただいたお菓子などもぺロリと平らげる。以前にはなかったことだ。

 

夕飯の後また財布のことを思い出したのか、あちこち引っかき回している。昨日捜してなかったのに同じ所にあるわけないと思ったが。またまた昨晩同様隠せるはずのない所まで捜すがない。全く時間の浪費もいいところだ。もう付き合いかねると引き上げたら、あった!と娘の大声。

 

今まで何度となく捜した流しの下の収納棚の、たこ焼き器を包んであるビニールの袋の中から姑が探し出したのだ。これでは分からないはずだ。おそらく、姑ははっと思い出したのだろう。

 

それからもお金が欲しいと言うので小額ずつ渡しているが、相変わらず毎日のように捜し回っている。することないから暇潰しにさせとけと夫は言う。思わず笑ってしまった。

次ページ煙草を吸いながら家の中をうろうろ…

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    大野 公子

    幻冬舎メディアコンサルティング

    入院早々骨折、幻覚幻聴、物忘れ……病院を騒がせる姑と嫁のやり場のない戦い。 介護する側、される側、双方には今日に至るまでの歴史がある。 血縁だけでは語れない愛がそこにはあった。 嫁が綴った過去の日記をもとに、「…

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