不動産業界、顧客本位主義の現実…求められる百貨店モデル

安定的な収益が得られ資産圧縮効果も高いと、富裕層の税金対策として人気を集めている都心の新築不動産への投資。しかし都心の中古一棟不動産を主力とする、アイ・インターナショナル株式会社管理部の矢吹靖浩部長は「投資でありながら“殖やす”という視点が抜け落ちている」と指摘します。そこで税金対策だけでなく資産形成も両立する「富裕層のための新しい不動産投資のカタチ」について考えていきます。最終回のテーマは「昨今の不動産業界における、顧客本位主義の現実」。

【2/16(火)関連WEBセミナー開催】
「都心×中古×一棟」で利回り2倍!ニューノーマル時代の不動産投資セミナー

富裕層に人気「海外中古不動産の節税スキーム」は封印

あまりにも富裕層の間で人気を博したことから、ついに国が待ったをかけた節税スキームがある。すでに実践していた読者にとっては“釈迦に説法”だが、海外中古不動産を取得し、短期間で多額の減価償却を進めて収支を赤字にし、所得税の節税を図るというものだ。

 

その減価償却費は「物件の取得価額÷法定耐用年数」となるが、海外(特に欧米)には「法定耐用年数」をはるかに超えて使用されている中古物件が多い。

 

そういった物件は「簡便法(法定耐用年数×20%)」を用いて耐用年数を算出し、たとえばレンガ造・石造の物件(法定耐用年数38年)で、わずか「38年×20%=7年」となる。

 

日本で築古物件は敬遠されがちだが、海外ではむしろ逆で歴史的な建造物が珍重されるうえ、不動産価格において土地よりも建物部分が占めるウエートが高いことも正反対だ。こうした点も、前述した節税スキームとって好都合だったわけである。

 

残念ながら、税制改正に伴って2022年以降の確定申告(2021年分)から新たなルールが設けられて、このスキームは封じ込められた。「収支が赤字となっている海外中古不動産は減価償却費を計上できない」というもので、以前から海外中古動産を所有中で「簡便法」による減価償却を行ってきた人も、2022年以降の確定申告では同手法を用いられない。

 

では、これを機に海外中古不動産の魅力は大幅に薄れてしまうのか? 現実には、依然として投資目的で海外中古不動産に目を向ける富裕層は多く、そういったニーズに応えて、アイ・インターナショナル株式会社では海外物件の取り扱いを拡充しているという。

 

【2/16(火)関連WEBセミナー開催】
「都心×中古×一棟」で利回り2倍!ニューノーマル時代の不動産投資セミナー

世界の物件を揃える「不動産投資の百貨店」を目指す!

同社管理部の矢吹靖浩部長はこのように宣言する。

 

アイ・インターナショナル株式会社管理部 矢吹靖浩部長
アイ・インターナショナル株式会社管理部 矢吹靖浩部長

「社名にインターナショナルと冠している通り、当社が目指しているのは、100カ国以上の国々の物件を取り扱うグローバル企業として、『不動産投資の百貨店』となることです。現時点では、海外事業を中心とする新しいチームを作り、積極的に各国との橋渡しができるよう動き始めており、現地の物件を日本のお客様にご案内する一方、海外のお客様が日本の物件を購入するお手伝いを行っています。足元では新型コロナウィルスの感染拡大が世界経済に大きな打撃を与えていますが、だからこそ、今まで以上に積極的な姿勢で世界進出を図っていくべきだというのが当社のスタンスです」

 

話は変わるが、相続対策で一棟賃貸マンションへの投資に検討する際には、節税効果だけではなく、収益性の高さも吟味することが重要となる。収益性を疎かにすれば、相続時の税負担は抑えられても、賃貸経営は赤字続きで資産形成を果たせないという結果を招きかねない。

 

同じように、海外中古不動産に目を向ける際にも、節税だけでなく収益性を重視するのが鉄則だ。その観点に立てば、海外には日本以上に魅力的な物件が数多く存在しており、家賃収入(インカムゲイン)による収益性に主眼を置きつつも、売却益(キャピタルゲイン)まで期待できるケースもある。

 

しかも、まだ日本の投資家が未開拓の国や地域も少なくないうえ、それぞれで税制や不動産取引のルール・慣習などが異なるため、取引においてはプロフェッショナルによるサポートが不可欠となる。こうしたことを踏まえて、アイ・インターナショナル株式会社はコロナ禍(逆境下)の今、あえて海外進出を加速させ、百貨店のように豊富な品ぞろえで顧客の幅広いニーズに応えようとしているわけだ。

 

【2/16(火)関連WEBセミナー開催】
「都心×中古×一棟」で利回り2倍!ニューノーマル時代の不動産投資セミナー

不動産業界…顧客本位主義と現実のギャップ

昨今の不動産業界では、それぞれの顧客の背景を踏まえて、個別に最適の提案を行うというアプローチが主流となっている。一見、顧客本位主義で理想的な営業スタイルのように思われるが、実情にはかなりのギャップが生じていることが否めない。

 

遊休地同然となっている所有地の有効活用と称し、安定的な需要を見込めない場所に賃貸マンションや賃貸アパートの建設を提案するケースがその典型例と言えよう。むしろ、その所有地を処分したり、担保に充てて融資を受けたりして調達した資金で、都心の中古一棟マンションを購入したほうがはるかに高い収益性を期待できる。

 

空室リスクを気にしているオーナーに対し、サブリース(一括借り上げ)の利用を提案する事例も、本当に顧客本位主義であるかどうかが疑わしい。そうすれば空室が出ても一定の家賃収入が約束されると説くが、一方的な契約内容の見直しや解除がありうることをオーナー側が認識していないケースが散見される。

 

「サブリースのことを、(オーナー自身は)何をしなくても空室リスクを回避して利益が得られるものだと受け止めがちですが、本来、そのように都合がよすぎるものはなく、リスクがどこにあるのか、考えなければなりません」(矢吹氏)

 

このように、個別の提案には様々な落とし穴が潜んでいると言っても、けっして過言ではなさそうだ。そこで、アイ・インターナショナル株式会社は個々にパーソナライズした提案を行うというアプローチは用いず、あらゆるニーズに応えられる品ぞろえを目指している。

 

「我々は自社で仕入れているという点で、仲介だけにとどまっている事業者とも一線を画しています。そのまま自社で所有し続けても、高い収益性が得られるという物件を厳選しているのです。100ヵ国以上の国々の物件を取り扱うというビジョンは一朝一夕に達成できるものではありませんが、本当に有益な物件にこだわって仕入れるという方針を今後も貫いてまいります」(矢吹氏)

 

 

【2/16(火)関連WEBセミナー開催】
「都心×中古×一棟」で利回り2倍!ニューノーマル時代の不動産投資セミナー

アイ・インターナショナル株式会社 管理部 部長

約20年ほどコモディティ・為替・株式と常に金融相場の最前線で過ごし、日本経済新聞やBloomberg等へ、市況予想やコメントも提供。その後、大きく変わりゆく国内・世界情勢を踏まえ、海外への資産移動の必要性を強く感じ、実物資産でもある海外不動産へ進出。シンガポール・フィリピン・マレーシア・タイ・ハワイをメインエリアに、海外不動産に限らず、国内にはない魅力ある投資などのコンサルティングを手掛ける。そのネットワークや経験を生かし、インバウンド・アウトバウンド双方の不動産ビジネスを通じ、世界からも注目されている日本の不動産を含めた、ビジネススキームを展開しています。
金融マーケットから見た、『一味違う観点からの海外投資の魅力』や『投資先としての日本不動産の魅力』をお伝えすることに全力を注いでいます。

著者紹介

連載常識が変わる!ニューノーマル時代「勝てる不動産投資」の極意