先週後半、注目のNFPが予想より悪かったにもかかわらず反発した米ドル/円。本記事では、その理由について考えてみたいと思います。FX開始直後から第一線で活動している、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が解説します。

上述のように、対円以外で米ドル反発となるなら、米ドル/円も基本的にはそれに連れる可能性が高いといえます。ただ米ドル/円は、豪ドル/米ドルなどと異なり、なお金利差からの米ドル割高是正が途上のようです(図表4参照)。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表4]米ドル/円と日米金利差 (2019年1月~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

他の通貨ペアと異なり、米ドル/円と金利差とのかい離が大きく、このため足元でもかい離が残っていることについて、コロナ・ショック以前、2019年後半の米国株高局面でも、金利差からかい離した米ドル高・円安になったことが原因なのではないかと、私は考えてきました。

 

その意味では、株高から株安へ転換する局面では、他の通貨ペアとは別に、米ドル高・円安の修正が入る可能性があるのです。。そして、3月のコロナ・ショック以降は株高・米ドル安が展開してきたわけで、それが米ドル高となった場合、株高に変調の可能性が出てくるかどうかに注目すべきだといえます。

「米ドル買い戻し」の、もう一つの理由とは?

米ドルは先週後半から反発が目立ってきましたが、これは、米ドルの「売られ過ぎ」懸念が強くなっていたことから、米金利上昇などで米ドルの買い戻しが入りやすかった影響がありました。

 

CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=日本円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドルのポジションから試算)は足元で売り越しが20万枚程度に拡大していました(図表5参照)。経験的には、これは米ドルの「売られ過ぎ」懸念が強くなっていることを示しています。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表5]CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション (2010年~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

ちなみに円のポジションで、とくに非報告部門の数字は、過去最高規模の買い越し(米ドル売り越し)となっていました(図表6参照)。このように見ると、全体的に米ドル買い戻しとなった場合、米ドル/円もそれに連れる可能性はあるでしょう。

 

出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成
[図表6]CFTC統計の非報告部門の円・ポジション (2011年~) 出所:リフィニティブ・データをもとにマネックス証券が作成

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長

 

 

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

 

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